MEMBERSHIP | テクノロジー / 建築
2025.05.30 18:38
新たな領域を切り拓くデザイナー、建築家、アーティスト、サイエンティストらの活動拠点を訪ねる本連載。今回は、1996年にハニフ・カラがロビン・アダムズ、アルバート・ウィリアムソン・テイラーというふたりの構造エンジニアとともに設立したエーケーティーⅡを取り上げる。この25年の建築史を語るうえで、彼らの存在なしには実現し得なかった建物を多数生み出した、建築家のデザインプロセスに精通する構造エンジニアファームだ。
建築モデルが並ぶ部屋でテクニカルディレクターのデイヴィッド・ワトソン(左)と談笑するハニフ・カラ(右)。金融街に隣接するロンドンの本社には270名ほどのスタッフが働くが、カラたちディレクターに個室や特別な席はない。それは、ヒエラルキーを設けずフラットな関係を築きたいというカラの哲学を表している。Photo by Mark Cocksedge
アンビルドの建築家たちとの出会い
構造エンジニアとは、建築物に安全性と耐久性を与えるのがその役割だが、メディアが建築家ばかりを取り上げることもあり、あまりその仕事ぶりはフィーチャーされていない。「オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズと私たちエーケーティーⅡは、唯一互いに認め合う構造エンジニアのファームだ」と語るのは、エーケーティーⅡの共同設立者ハニフ・カラだ。アラップは創業80年近い構造エンジニアの先駆的企業で、業界の認知度も高い。片やエーケーティーⅡは29年の活動期間にもかかわらず、その躍進は凄まじく、今や構造エンジニアを目指す学生の就職先としてアラップと人気を二分する。