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2025.08.28 11:31
エンジニア集団nomenaを率いる武井祥平が、日々の気づきを通じて、工学的発想やデザインとの関係を綴る。
2023年1月、原 研哉さんがnomenaを訪れた。大阪・関西万博「ブルーオーシャン・ドーム」に設置するインスタレーション作品の実制作を担ってもらいたいーー。その作品は、山に降り注いだ雨が河川となって陸上を巡り、やがて海に放たれ、また雨となるという自然の営みを、直径7m、高さ3mというスケールで表現するものだった。2年以上に及ぶ試行錯誤が始まった。
水は11個の形の異なる器(流路と呼ぶ)の上を、途中で分岐しつつ乗り移っていき、最後に大海を思わせる盤上で合流する。水滴の大きさや流れの緩急により、多様な水の表情をつくり出す。とはいえ、私たちはあまりにも水を見慣れてしまっている。ハッとするような印象をもたらすために何ができるか。超撥水の作用を用いること、流路は可能な限り平板状とすること、流水の振る舞いに対して極力人為を排除すること、といった原さんからのディレクションをもらいつつ、エンジニアである私たちも日々の実験のなかで、水が水に見えなくなる瞬間を探した。