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2025.10.03 15:46
Photos by Sanna Lindberg
戦略なしにデザインはなく、デザインなしに戦略はありません。そのためにはまず、ブランドの「コア」を理解する必要があります。
Stockholm Design Lab(ストックホルム デザイン ラボ)という名前を知らなくても、サイズ表記の数字を大きく配したアスクルの乾電池や、アルミ削り出しによるシグマのミラーレスカメラ「SIGMA BF」のブランディングやマーケティングを担ったと聞けば、わかる人も多いのではないだろうか。静かに訴えかけるような美しさで記憶に残る、彼らの仕事。これまでにSAS スカンジナビア航空やイケア、ボルボ、ノーベル賞をはじめ、コカ・コーラやウーバー、サムソンといった名だたる企業の仕事を手がけている。一貫してシンプルでミニマムな美しさを持ちながら、その企業らしさも強く印象づける。それらはどのように生み出されるのか、代表のビョルン・クソフスキーをストックホルムに訪ねた。
革新的なアイデアを生み出すための場所
──ストックホルム北部の公園に隣接した金色に輝く建物は、スヴェン=ハリー美術館のみならず、レストランや住宅を備えた複合施設です。この建物の一角にStockholm Design Lab(以下SDL)のオフィスもあるのですね。
スウェーデンで有名な建築家イェルト・ウィンゴーと、アンナ・セーデルベリが設計した建物です。ファサードはスウェーデンのコインと同じ素材、金色の亜鉛アルミニウム合金で覆われています。床から天井まで5mの大きな窓の外には、公園の豊かな緑が広がる環境。コロナ禍で在宅勤務が多くなったとき、SDLのメンバーには自宅とは別に特別な場所を提供したいと思ったのです。入居時はショールームのようなオープンスペースだったので、会議室やキッチンなどを設計してオフィスにつくり変えました。地下には作業場兼スタジオもあり、撮影や模型制作、アーカイブ書庫としても使っています。