Foster+PartnersとLateralが挑む“Outlier I”
メガヨット設計の境界を超える新コンセプト

「Outlier I」。総トン数2000GTは、メガヨット市場における「黄金のバランスポイント」を示す。係留の容易さを保ちながら、スイミングプール、ヘリパッド、プライベートトップデッキなどの主要な装備を統合できる理想的なサイズである。

イギリスに拠点を置く設計事務所のフォスター・アンド・パートナーズは、海洋工学のエキスパートLateralと協働し、モナコ・ヨットウィークにて「Outlier I」を発表した。全長88メートルというサイズながら、100メートル級ギガヨットに匹敵する機能や空間性を備え、メガヨット設計の新たなパラダイムを提示する。

総トン数2000GTは、メガヨット市場における「黄金のバランスポイント」を示す。係留の容易さを保ちながら、スイミングプール、ヘリパッド、プライベートトップデッキなどの主要な装備を統合できる理想的なサイズである。

「Outlier I」は、88mの標準的なサイズのメガヨットと比べて約40%ものデッキ面積の拡張を実現。フォスター・アンド・パートナーズのシニアパートナーであるマリル・シコリは、「複層構造による大空間と、自然光に満ちた開放的なリビングエリアを実現しました。ヨットデザインの既成概念を超え、水上の暮らしに新たな体験をもたらす設計です」と語る。

この革新的なコンセプトは、垂直および水平の空間的連結性を向上させ、ゲストとクルーの間の相互作用を高めるとともに、より快適でプライベートな宿泊空間を再想像する。

設計上の革新点として注目されるのが、エンジンルームの配置転換だ。従来は中央や船尾に置かれていた機関室を船首側に移すことで、中央および後部の空間を解放。これにより、対水面に近い居住性と自由度の高いレイアウトを両立させている。

この革新的なコンセプトは、広々とした充実した内部空間と、船尾への障害物のない外部デッキの可能性を引き出す。くつろぎやエンターテインメント用に理想的である。

この新たなコンセプトは、垂直・水平方向の空間的なつながりを強化し、ゲストとクルーの交流を促進するとともに、快適さとプライバシーを兼ね備えた居住環境を実現している。広々としたインテリアと、船尾に向かって視界を遮らないエクステリアデッキが、リラックスやエンターテインメントに最適な環境を生み出す。

これまでの海洋デザインで培った経験を生かし、オーナーの好みに応じた柔軟なカスタマイズを可能にした「Outlier I」。ラグジュアリーなクルージングから未踏の海域への探検まで、幅広い用途を想定する柔軟性を備え、ヨットデザインの未来に新たな方向性を示している。End