都市の孤独に立ち向かう「ルーフトップ再生」
Heinekenがソウルの屋上を社会空間へと転換

Photo by Tom Hegen ©2025

ビールブランドのHeinekenは、都市における孤立感という課題に応える新たなプロジェクトを韓国・ソウルでスタートさせた。上空から見過ごされてきた屋上空間をソーシャルな交流拠点に変えることで、密な都市生活に潜む「接近のパラドックス」に挑む。

世界6都市を対象とした調査によれば、ロンドン、ソウル、東京、ニューヨーク、パリ、シドニーでは、都市住民の57%が「しばしば孤独を感じる」と回答。さらに、週に1回以上孤立を感じると答えたのは33%にのぼった。

一方で、ソウル市民の53%は、この街は社交や交流よりも仕事と生産性を重視して設計されていると答え、37%は社交スペースが少なすぎると感じている。しかし、上空から見ると、ソウルは世界の都市の中でも平らな屋上スペースの割合が最も高く、その多くが緑色に塗られている。

Satellite image by Maxar Technologies ©2025

このギャップを埋めるために、Heinekenは「忘れられた都市空間」である屋上に焦点を当て、未活用の屋上を舞台に文化イベントや体験型プログラムを展開。衛星画像からその場所を赤い星で示す演出とともに、都市住民に新たな交流の場を提供した。

ソウルの屋上でのアーティストCha Inchulによるワークショップ会場風景

ソウルでは、屋上を舞台に3日間のイベントが行われ、K-Pop アーティストDINOの公演、アーティストCha Inchulによるワークショップ、料理人Cho SeoHyeoungによるテイスティング体験が展開された。これらの変貌を上空から記録した航空写真家 Tom Hegenは、「Heinekenの取り組みは、孤独を解消する答えが必ずしも新しい建設ではなく、社会的なつながりを再び息づかせる視点にあることを示しています」と語る。

Photo by Tom Hegen ©2025

また、Heineken のグローバルブランド統括責任者 Nabil Nasser は、「都市全体を再設計することはできないかもしれません。しかし、人々が空間を見直すきっかけをつくることはできます」と語る。赤い星を背景に掲げたルーフトップ再生は、「人々が集う場への誘い」であり、都市の中に人と人がつながる余白を取り戻す試みである。End