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15秒前

ファッションテックスタジオdot-hzm(ドットヒズミ)が提案するプロジェクト「清澄製銀」は、焼成によって純銀になる銀粘土を3Dプリンティング技術と組み合わせ、誰もが直感的にシルバーリングを制作できる新しい仕組みである。

清澄製銀によって出来上がった指輪。
従来の金属加工では、鋳造や鍛造といった高度な専門技術や複雑な設計ソフトが必要とされ、表現の自由度にも限りがあった。本プロジェクトでは、iPadで描いた一筆の線をその場で3Dデータに変換し、独自開発の3Dプリンタで微量の銀粘土に出力。最後に焼成によって純銀へと変化させ、世界にひとつだけの指輪が完成する。デザインから完成までを自らの手で楽しめることが特徴だ。

指輪の形を描く際のイメージ。
このプロセスを支えるのは、既存の3Dプリンタを分解・再設計して生まれた独自の装置である。ステッピングモーターと可変制御システムにより層の高さや出力量を精密に調整し、銀粘土という繊細な素材でも安定した造形を実現する。ソフトウェア面ではSVGベースのワークフローを構築し、描いた線を即座に3Dモデル化。直感的な操作でデザインを楽しむことができる。

銀粘土に対応した独自の3Dプリンタ。

出力中の指輪。
さらに、彫金職人との協働により、サイズ感や着け心地といった実用面の検証を重ね、燻し加工など多様な仕上げも取り入れた。エンジニアリング、建築、プロダクトデザインといった異なる分野のメンバーが集まり、テクノロジーと職人技を融合させることで、再現性と自由度、そして体験の一貫性を兼ね備えた新しい制作のかたちを生み出している。
「清澄製銀」は、金工の敷居をひらき、誰もが自分の文脈を持った指輪を生み出せる可能性を提示する。テクノロジーと手仕事のあいだにある創造の余白を拡張する、次世代のものづくりの姿がここにある。![]()












