鬼木デザインスタジオが内装をデザイン
木工とアートが響き合う「ABE galarie_TOKYO」

木製ドア・建具・家具の総合サプライヤーである阿部興業は東京・新宿の本社1階に新ショールーム「ABE galarie_TOKYO」をオープン。内装設計は鬼木デザインスタジオが手掛けた。同社のものづくりを、「画廊」というコンセプトで可視化する空間であり、伝統工芸の技法を取り入れた木製ドアと、障害を持つアーティストの作品を並置することで、素材と表現の新たな関係性を提示している。

空間構成の核となるのは、木製ドアと絵画の各作品との仕切りとなる袖壁である。左官材で仕上げた袖壁は、ゆるやかな円弧を描いて天井の下がり壁へと連続し、鑑賞者の視線を自然に導くと同時に、作品ごとの「間」をつくる役割を果たす。これにより、展示物が持つ個の強度を際立たせながらも、空間全体としては静かで伸びやかな一体感をつくり出している。

また、袖壁をファサードに平行して5枚配置し、奥の壁にはミラー仕上げを採用することで、限られた平面の中に広がりと奥行きを演出している。床には壁と同じ左官材を用いたタイルを敷き、職人の手仕事による素材の表情が空間全体をやわらかく包み込む。

同ショールームは、「個」として強さのある各作品にフォーカスしながらも、同時にそれらが集まった「集合」としての画廊としてのアイデンティティを静かに立ち上げ、阿部興業のものづくりの精神と空間デザインの融合が生む、新たな鑑賞体験を提示している。End