アウトドアからリハビリまでカバーする
スタイリッシュな外骨格「Hypershell Xシリーズ」

エクソスケルトンとも呼ばれる外骨格デバイスは、身体の外側に装着してさまざまな作業や動きを補佐する装置を意味し、モーター駆動のものや動力なしにバネなどの復元力を利用するものなど、目的や用途に応じていろいろなバリエーションがある。しかし、これまでは主に倉庫での重量物の運搬や介護現場における被介護者の移動時などに、背筋や腕の筋力をサポートする製品が中心だった。そのため、価格も業務用として高めになり、一般消費者が目にする機会も少なかったと言える。

これに対して、香港に本社を持つハイパーシェル(Hypershell)は、登山やトレッキング、サイクリングなどのアウトドアアクティビティを中心に日常使いできることを目指して、脚力のアシストに特化した「Hypershell Xシリーズ」を開発。アルミニウム合金・ステンレス・繊維強化プラスチック製で最大出力0.5馬力、重量2kgの「Hypershell Go X」(999ドル)、同1馬力の「Hypershell Pro X」(1,199ドル)、そして性能はPro Xと同等ながら3D成形のチタン合金と炭素繊維の採用で重量を1.8kgに抑えた「Hypershell Carbon X」(1,799ドル)の3モデルを揃え、目的や予算に応じて選択できるようにした。寒冷地仕様のバッテリーも用意され、雪山などの過酷な環境でも利用できる仕様となっている。

最大の特徴は、同社がその形状からオメガ(Ω)構造と呼ぶアーム部分にあり、膝上を正面から支えて力が加えることで、効率の良いアシストが可能となった。また、プロトタイプでは腰の真後ろにジョイントとモーターがある構造だったが、設計変更によってそれらを左右に振り分けたことで力点(モーター位置)と作用点(膝上)の距離が縮まり、パワー伝達がより安定。駆動機能のない後部のフレームに幅の調整機構を持たせて、ひとつの筐体で体格の異なるユーザーにフィットできる仕組みを確立した。

筆者は実際にPro Xを購入し電車内を含めて多様な場所で試用しているが、事実上無音で動作することもあり、製品写真からの想像とは違って周囲の人目をひくことはほぼ皆無である。

また、購入者からのフィードバックを見ると、事故で膝に障害が残ったり、先天的に左右の足の長さが異なっていて歩行が不安定になる人も、Hypershellの装着時には正常に歩けるようになったとのコメントも寄せられている。Hypershell自体は医療機器としての認定は受けていないものの、リハビリ用途などでも大いに利用できそうな、新カテゴリーの製品と言ってよいだろう。End