アプリを使って食品廃棄物をプロダクトに変える
3Dプリンタ「FOODres.AI Printer」

私たちが食事をつくるとき、どうしても出てしまうのが野菜や果物の皮、食べ残しなどのゴミである。しかし、結局はコンポスト以外に有効な再利用の方法が見つからず、そのまま廃棄することになるのが現状だ。

© Biru Cao

こうした課題をデザインの力で解決しようと、米MIT出身のデザイナー Yiqing WangBiru Caoが手がけるスタートアップ FOODRes.AIは、食品廃棄物を多様なプロダクトに変える卓上3Dプリンタ「FOODres.AI Printer」を開発した。

まず、スマートフォンのカメラで食品廃棄物を撮影すると、専用アプリを介してAIが写真から素材を分析し、プリンタで印刷可能かどうかを判断。これをもとに、アプリがカップホルダーやコースターといったデザインを提案する。つぎに食品廃棄物をプリンタに投入し、サイズや形状を選択すれば出力が始まる。食材ごとの色づかいや質感が生かせるほか、オリジナルアイテムの作成も可能だ。

アプリに搭載された自己学習AIは、物体検出モデルにより食品の種類を識別し、印刷に適した素材かどうかを評価する。一方、プリンタには材料加工モジュールが内蔵されており、食品廃棄物と天然由来の添加物を混ぜ合わせ、プリントに適したバイオプラスチックペーストをつくり出す。

このプリンタの最大の魅力は、特別な専門知識がなくても、自宅で食品廃棄物をクリエイティブにアップサイクルができる点にある。操作はアプリのガイドに従うだけでよく、誰にでも扱いやすい設計となっている。

MIT IDEASプログラムの支援を受けてスタートした同プロジェクトは、研究や技術開発の領域を超えて、デザインを通じた食品廃棄物のリサイクル、さらには地域コミュニティにおける日常的な環境への取り組みを促すきっかけとなるだろう。End