NEWS | 建築
2025.10.07 12:22
「Teshima Factory」外観
瀬戸内海に浮かぶ豊島・家浦港前に、旧鉄工所を再生した食堂兼食糧工場「Teshima Factory」が誕生した。プロジェクトを手がけたのは、エンターテインメント事業を軸に地域再生へも取り組む、大手芸能プロダクションのアミューズである。
「Teshima Factory」周辺の景色。
豊島はかつて産業廃棄物の不法投棄で「ゴミの島」と呼ばれたが、その後は自然と共生する取り組みによって再び注目を集めている。無農薬の棚田農業や、それがもたらす豊かな漁業など、島の暮らしは持続可能性を体現してきた。しかし近年の高齢化によってその営みが次第に失われつつある。Teshima Factoryは、そうした循環型の暮らしを新たに再生し、島の産品を地域内外へ発信する拠点として構想された。
屋内
スキーマ建築計画の長坂常が設計した本施設は、建築計画では延床面積360㎡の旧工場を2つに分け、一方を醸造所、もう一方を食堂とした。既存の中央エントランスを軸に、工場側は遮光性を重視しスレート屋根を活かし、食堂側は波板ポリカーボネートに拭き替えて自然光を取り入れている。そうして、双子のように対をなす空間「Twins」が、島の玄関口に生まれた。
ブルワリーでは、瀬戸内海の気候を意識した、爽やかなIPA クラフトビール「ルルビール」を製造。
インテリアは既存鉄骨の色味を基調とし、球体照明には海洋プラスチックごみを再利用したマテリアルを採用。さらに、オランダのアーティストSander Wassinkと島民が共同製作した椅子が並ぶ。同施設は、島民と観光客が食を通じて交わる新しいコミュニケーションの場として機能している。
海洋プラスチックごみを再利用したオブジェ。
自然と人、過去と未来をつなぐ「Teshima Factory」。島の資源を活かしながら暮らしを再生し、新たなアグリカルチャーツーリズムを開く拠点として、これからも進化を続けていくだろう。
Teshima Factory
- 所在地
- 香川県小豆郡土庄町豊島家浦889
- 営業時間
-
9:00-19:00
※火曜定休日 - 詳細
- 公式インスタグラム