柚木沙弥郎「永遠のいま」展が東京オペラシティで開催
型染に新風を吹き込んだ染色家、75年の創作を紹介

染色家・柚木沙弥郎の回顧展「柚木沙弥郎 永遠のいま」展が、東京オペラシティ アートギャラリーで12月21日(日)まで開催されている。

《『トコとグーグーとキキ』絵本原画》2004年 水彩、紙 公益財団法人 泉美術館蔵

2024年に101歳で逝去した柚木は、型染の世界に新風を吹き込んだ染色家として知られる。柳 宗悦らによる民藝運動に共鳴し、芹沢銈介のもとで修業を重ねながら、自由でユーモラスな造形と鮮やかな色彩を融合させた作品を生み出してきた。

《「DEAN & DELUCA」カフェのための作品原画》2021年 コラージュ、紙 ディーン&デルーカ蔵 撮影:奥田正治

本展では、初期の型染布から101歳で手がけたコラージュ作品まで、75年にわたる創作の全貌を紹介。染色作品をはじめ、版画、絵本、立体、ガラス絵など、多彩な表現活動を横断的にたどることができる。また「都市と地域」をテーマに、柚木が関わりを持った国内外のゆかりの地を特集。倉敷や東京をはじめ、訪れた土地の文化や人々との出会いを映し出す作品や資料を展示している。

《幕》1961年 型染、木綿 坂本善三美術館蔵

柚木は東京帝国大学で美学・美術史を学んだのち、戦後に倉敷の大原美術館に勤務。ここで民藝の思想に出会い、染色の道を志した。1980年代以降は、染色にとどまらず版画やコラージュなど表現領域を拡張。2000年代にはインテリアブランド「IDÉE」での展示や企業とのコラボレーションなど、現代の暮らしと結びついた活動も展開した。民藝を出発点に、人生そのものを創作に昇華させた柚木沙弥郎の軌跡をたどる展覧会となっている。End

染色家・柚木沙弥郎  撮影:木寺紀雄

柚木沙弥郎 永遠のいま

会期
2025年10月24日(金)─ 12月21日 (日)
月曜休館(11月24日開館)、月曜祝休日の翌火曜日(11月25日休館)
会場
東京オペラシティ アートギャラリー
(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F)
入場料
一般1,600円/大・高生1,000円/中学生以下無料

詳細
https://www.operacity.jp/ag/exh291/