島津製作所「WAZA to WAZA」、
分析・医療機器に京都の職人技を融合した特別プロジェクトを展開

液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」。金継ぎによって樹脂部品を漆と金で接着している。(京都・暁雲荘にて撮影)

精密機器メーカーである島津製作所が、創業150周年を記念したプロジェクト「WAZA to WAZA(技と業)」を展開している。京都本社エントランスでは、最先端の分析・医療機器4機種に、西陣織、京友禅、金継ぎ、京漆器などの伝統工芸技術を融合させた記念コンセプトモデルを展示中だ。

回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution」。四季をテーマに4色展開し、側面に京友禅を配置。(京都・暁雲荘にて撮影)

展示の核となるのは、伝統工芸の意匠を纏った4機種だ。

液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」には金継ぎを採用。金継師・番浦 肇の手により、樹脂部品を漆と金で接着している。実験室での耐久性を保ちながら、破損を美に変える日本の美意識を機器に応用した形だ。

液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」のディテール。金継師・番浦 肇の手仕事が光る。(京都・暁雲荘にて撮影)

ガスクロマトグラフ「Brevis GC-2050」は、AI生成による独自文様を西陣織で具現化。明治35年創業のフクオカ機業と大正13年創業の西村商店が技術を提供し、デジタルと伝統技術を接続している。

ガスクロマトグラフ「Brevis GC-2050」。AI生成による独自文様を西陣織で具現化。(京都・暁雲荘にて撮影)

回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution」は四季をテーマに4色展開し、側面に京友禅を配置。木村染匠による手描き友禅を施している。

回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution」。木村染匠による手描き京友禅を施している。(京都・暁雲荘にて撮影)

頭部・乳房用TOF-PET装置「BresTome」のクッションカバーには、和文様でピンクリボンを表現した京友禅を使用。検診という機能性とデザイン性を両立させている。

頭部・乳房用TOF-PET装置「BresTome」。和文様でピンクリボンを表現した京友禅のクッションカバーを使用。(京都・暁雲荘にて撮影)

頭部・乳房用TOF-PET装置「BresTome」のクッションカバーのディテール。(京都・暁雲荘にて撮影)

これらは「Craftech」をコンセプトに、機能的価値だけでなく、色・柄・素材へのこだわりを通じて製品への愛着を生み出すことを目指している。焼き漆や蒔絵といった素材の経年変化を意図的に取り入れていることで、モデルは時間とともに表情が変わり、一台ごとに異なる外観となる。

ガスクロマトグラフ「Brevis GC-2050」のディテール。フクオカ機業と西村商店による西陣織と西陣引箔の技術が施されている。(京都・暁雲荘にて撮影)

プロジェクトには黄綬褒章や旭日単光章を受章した職人を含む10組の京都の工房が参加。展示では工芸品と仕事道具約13点、制作過程を記録したパネルも公開されている。

これらの記念モデルは6月の大阪・関西万博、9月の「JASIS2025」などで展示され、要望を受けて外装パーツやステッカーなどのオプション製品も12月末まで期間限定で販売されている。世界を巡回した記念モデルは12月に京都本社へ戻る予定だ。End

「WAZA to WAZA(技と業)」

会期
2025年12月中旬まで(現在の展示)
2025年12月末〜2026年3月(フィナーレ展示、海外から帰還した14台を含む計18台を展示予定)
会場
島津製作所本社 エントランス
※来場者登録が必要です。一般公開は行っておりません。
詳細
https://www.shimadzu.co.jp/research_and_development/design_strategy/wazatowaza/