洗練を愉しむ。ワインの味を変えるZWIESELのグラスデザイン。

ZWIESELのグラスでスパークリングを試す

先週末、AXISビルの「リビング・モティーフ」でZWIESEL(ツヴィーゼル)のグラステイスティングが行われた。グラスでワインの味が変わるというのは噂で聞いていたが、体験するとこれはホントだと実感。グラスはZWIESEL 1872「THE FIRST」シリーズのシャンパングラス。そこに日本初上陸となるイタリアのスパークリング「ROTARI」を注ぐ。デザインマインドを高揚させるこの出会いに創造力もきらめく。

デザインの水脈として

ツヴィーゼル・クリスタルガラス社は1872年創業のグラスとガラス製品のメーカー。南ドイツの街の名前が社名になっている名門。もともとこの周辺は良質の珪石と木炭が豊富で、中世から多くのガラス工房が栄えている地である。ミュンヘン周辺部は、バイエルン王国がそうさせるのか、アルプス山脈がそうさせるのか、モノづくりに強い意志をもつデザインの水脈だ。ツヴィーゼルもしかり。伝統を誇りに新しい時代を追求する姿勢は、グラスやテーブルウェアを通じ幾世代にわたるヨーロッパの美食家に応えてきた。

彼らのグラス開発は先進性に満ちている。森と共存する環境保全の目的で、クリスタルガラスからいち早く鉛を排除。「Tritan」と名付けられたチタンとジルコニウムを配合することで、優れた輝きと透明度、そして薄くても割れにくいグラスを実現した(その強度は驚きである)。グラスも豊富で、ワインからシャンパン、ビール、グラッパ、ミネラルにいたるまでさまざまな飲物に合わせたアイテムをそろえることができる。

本当の味を引き出すデザイン

特筆すべきは飲物を最上の状態で味わうためのデザイン。特にハンドメイドのZWIESEL 1872「THE FIRST」シリーズは世界最高峰のソムリエであるエンリコ・ベルナルド氏との共同開発で、赤白はもちろんワインの種別により詳細にデザインされている。
全アイテムに見る腰が張ったデザインが特徴のボウルと、引き脚のボウルがステムに伸びる美しいフォルム。アロマを充分に蓄え、口に入る量までもコントロールする。またワインが注がれた時の重さを基準にバランスをとっているため、持った時もごく自然だ。もちろん手吹きならではの口あたりとディテールはマイスターならではのもの。
グラスでワインの味が変わる。というのはグラスが「本当の味を引き出す」ということだった。
創造力を刺激するひととき。ぜひお試しを。

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日本初上陸のROTARI(ロータリ)

「ロータリ」は北イタリアのトレンティーノ・アルト・アディジェ州にある山と湖に囲まれた高級ブドウ品種の栽培で有名なメッツァコロナのワイン・ブランド。その香り高くエレガントで調和のあるまろやかさには定評がある。

ワイナリーはアルベルト・チェッケット氏による建築で、周囲の美しい景観やブドウ畑の樹列、畝のイメージを取り込んだモダンなもの。現在イタリア各地にはデザイナーズワイナリーというネットワークがあり、ワイナリーがそれぞれ優れた建築家に依頼し、個性豊かな新しい観光名所として脚光を浴びている。これも見逃せない。

(文: 田畑多嘉司 会場写真: 中村規子)