「塩ビものづくりコンテスト2011」“懐の深い素材”塩ビの新たな可能性を求めて

現在、作品募集中の「塩ビものづくりコンテスト」。「新たに切り拓く、PVC(ポリ塩化ビニル)の可能性」というテーマのもと、軟質塩ビの特徴を生かした、独創性・実用性等に優れた作品を募集しています。今回は同コンテスト運営委員会事務局の塩ビ工業・環境協会、一色 実さんにコンテストへの期待と想いについてうかがいました。

——第1回の開催となりますが、どのような期待を持っていらっしゃいますか?

今回は、広く一般を対象とした「作品応募」と、主催・協賛の会員および協賛会員の会社・社員を対象とした「製品応募」の2つのジャンルがあります。前者は実際に製品をつくっている方が対象ではありませんが、逆に業界外の方々からのアイデアが、新しい切り口になるのではないかと期待しています。特にこれからの日本のものづくりというのは、デザインをどう捉まえるかが重要だと考えていますので、デザイナーや学生の方々からの多様なアイデアに期待しています。
 そこから選んだものを、業界の方々に、「え、こんな考え方があるのか!」という驚きを覚えながらつくっていただく。そうしたコラボレーションが実現できればと思っています。

——塩ビの可能性、あるいは他の素材に対する優位性について教えていただけますか。

塩ビは実は“懐が深い素材”です。汎用樹脂のなかでも最初につくられた素材で、戦後の何もない時代から、大量につくられ、いろいろな用途に使われてきました。硬いものから柔らかいものまで。電線の被覆をはじめインフラ周りにも塩ビが使われています。従来の紙やゴムに代わって塩ビが普及してきたという長い歴史における底辺の広さがあり、応用例がたくさんあるわけです。
 塩ビは、可塑剤を入れることによって固さを変えることができますし、なにより透明性が良い。印刷性にもひじょうに優れています。素材として見たときに、厚みや透明性、色、固さを自由に調整できるのは、塩ビだけなんです。つまり、本当はこの固さがほしい、この透明感がほしい、この色がほしいといったときに、選べる材料なのです。
 また、塩ビは高周波融着といって、中のところだけが溶けてくっつくという、他のプラスチックにはない加工方法が可能です。浮き輪などのように水に濡れるものにも使われるほど、融着の信頼性が高く、それが実用性にもつながっています。そういうところにも塩ビの素材としての面白さ、新たな用途へと広がっていく可能性が潜んでいるのではないかと考えています。

——かつてのダイオキシンや環境ホルモンといった塩ビに対する誤解はまだ残っているのでしょうか。

すでに問題のないことが、検証・確認されているのですが、気にする方は一部いらっしゃるのも事実です。しかし、本当にごく一部になりました。どちらかというと、B to Cのなかでカスタマーが嫌うだろうと思って、Bの段階でやめるというケースのほうが多い。
 実は電線の被覆から、建物の外壁材や内装も含めて、われわれの生活のなかでは塩ビ抜きでは語れないものが数多くあります。しかし、何でもかんでも塩ビというわけではなくて、当然屈折したときの耐久性は、ポリプロの方がいいと思っていますし、それぞれのプラスチックの持っている特徴があります。

——そういう意味では、今回のコンテストは塩ビを知らない応募者が、塩ビを知る、改めて見直すという機会になりますね。

そうです。まずは塩ビを触っていただきたいし、知っていただきたい。ビニール傘ひとつとっても、あれは塩ビではなくて、ポリエチレンなんだという誤解もあるほどですから(笑)。
 コンテストのホームページを見ていただくとさらに詳しい塩ビの特長や応用事例をご紹介していますので、「あ、これもそうなのか」ということがわかっていただけるはずです。そこからさらに自由な発想で作品の応募につなげていただければと思います。

——応募作品はプロダクトでもいいし、衣類でもいいし、分野は問わない?

分野は問いません。どういった作品が集まるかは想像がつきませんが、このコンテストはデザイナーとものづくりに携わっている人たちが出会うための1つの機会です。選ばれるのはほんのわずかかもしれませんが、別途出会いの機会をつくることができるかもしれません。選に漏れたものでも、これをもうちょっと膨らませて企画化したいという可能性もあります。1つの出会いによって、応募者であるデザイナーは1つステップアップをするし、ものづくりに携わる側は新たな視点を得る。そういう場面がつくれればと思います。

「塩ビものづくりコンテスト2011」

テーマ 「新たに切り拓く、PVCの可能性」
作品提出    2010年10月20日〜2011年2月28日
製品エントリ− 2010年10月20日〜2011年2月28日
製品提出            〜2011年5月20日

大賞(1点) 副賞50万円
優秀賞(4点)副賞各10万円
特別賞(5点)副賞各3万円
入賞(10点) 副賞各2万円

募集要項詳細および、応募のためのヒントになる「PVCに関する資料」は、こちら「塩ビものづくりコンテスト2011」のホームページから。