カネカOLEDデザインコンペティション2010の表彰式が行われました。

昨年10月15日より約3カ月にわたって募集が行われた「カネカOLEDデザインコンペティション2010」有機ELパネルという新たな光源を用いて、次世代の照明の可能性を追求したデザインコンペには、国内外より496作におよぶ多数のアイデアが寄せられました。

▲今回のコンペに際して定められた審査基準は、「BAR × JAPAN × OLED『美しき日本の酒場を彩る、新感覚あかりオブジェ』」といったテーマを魅力的に表現できていることなど、5項目におよびました。

そのなかから、1次、2次審査を経て、見事大賞を獲得したのは、埼玉県在住の主婦である森田文子さんの作品「Pieces of Light」。薄く、軽量であるというOELDの特徴を生かしたアイデアは、OLEDを外殻で覆い、表面に特殊加工を施してつなぎ合わせるというもの。空間をたゆたう光のファブリックのように、軽やかに、多彩な表情を見せる光の演出として高い評価を獲得しました。

▲大賞を受賞した森田文子さんの作品「Pieces of Light(ピーシズ・オブ・ライト)」。

審査員のひとりである乃村工藝社デザイナーの松浦竜太郎さんは、森田さんの作品を次のように評しました。「形をデザインしたアイデアが多かったなかで、『Pieces of Light』は唯一形がなかった作品。ユニットを組み合わせることで、どのような形にもなり得るというアイデアに新しさを感じさせられました」。

「Pieces of Light」は、試作品が制作され、4月に行われるミラノサローネのカネカ会場(「美しい日本の酒場」をテーマにトラフ建築設計事務所が手がける)にて、披露されるといいます。世界最高峰のデザインステージで自らのアイデアが作品として紹介されることも、受賞者にとって嬉しいプレゼントになったはずです。

▲カネカが3月22日より発売する有機EL照明パネル。白、赤、青、緑、オレンジという多色展開で、価格は10cm四方で2万円程度の予定だといいます。

この日は、大賞受賞者以下、優秀賞1名、佳作3名、アイデア賞1名の表彰が行われました。彼らの既成の照明イメージを撃ち破る斬新な発想を見るにつけ、自由度の高いデザインを許容するOLEDの可能性を感じ取った人も多かったのではないでしょうか。

▲▲壇上に上がった受賞者の面々。右から3番目が大賞を受賞した森田文子さん。今回のコンペには、学生からプロ、10代から60代まで、幅広い層の人たちが参加をしたといいます。

「モノづくりや技術の視点だけでなく、それがどう暮らしに溶け込んでいくのか。OLEDから見える新しい光の暮らしというものを考えるべき」という審査委員長を務めた三木光範同志社大学理工学部教授のコメントが、受賞者のデザインに込めた思いを代弁していたように思いました。消費電力が少ないクリーンな光源であると同時に、面発光ができ、軽くて薄いというパネルの特徴を踏まえたデザインコンペは、今年も行われる予定だといいます。

▲ミラノサローネにおけるカネカブースのイメージ。OLEDを使ったBAR空間が設置されます。「特別な調理を施すのではなく、(OLEDという)素材そのものをシンプルに見せたい」と、トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さんは、意気込みを語りました。

カネカOELDデザインコンペティション2010
主催株式会社カネカ
後援:社団法人 日本ディスプレイデザイン協会(DDA)
   社団法人 商環境設計家協会(JCD)
   社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)
問い合わせ:株式会社コンタクト内 カネカOLEDデザインコンペ事務局