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坂本一成 著『建築に内在する言葉』

『建築に内在する言葉』
坂本一成 著(TOTO出版 2,940円)

建築家にして東京工業大学名誉教授でもある坂本一成の、40年にわたる研究と設計活動における思考の過程を綴った論考集。住宅を主とした設計活動を行うとともに、大学においては研究者として建築教育に携わり、坂本研究室からはアトリエ・ワンや西沢大良氏など数多くの優秀な卒業生を輩出してきた。「私たちの日常はどのようにして世界に開かれるのか」と問いかけながら、現代社会における建築の意味を問う思考の軌跡は、建築をその構成要素や空間概念から、さらにはビジュアルとしての図像性といった側面から多角的に分析、解釈しようという作業であり、坂本自身の作品へのリアリティーを裏付けるためのものでもある。本書はそんな坂本の「建築とは?」「住まうとは?」といった根源的な問題を解き明かそうと真摯に追求し続けてきた自己との対話の軌跡でもある。223×158mm、320ページ。

以下、目次より。

序 建築構成の修辞と論理、そして詩学
自由で解放的な、そしてニュートラルな建築の空間

第一部 建築の修辞
I 住宅・建築の意味作用
〈住むこと〉、〈建てること〉、そして〈建築すること〉
建築での象徴作用とその図式――両義的なことの内に
覆いに描かれた〈記憶の家〉と〈今日を刻む家〉
――建築でのアイデンティティと活性化/建築の外形を例として

II 建築の構成
構成の形式としての建築
閉鎖から開放、そして解放へ――空間の配列による建築論
〈スモール・コンパクト・ユニット〉と〈アイランド・プラン〉による都市居住と
都市環境
構成形式と現実の緊張関係によるスケールから生まれる詩的インパクト

第二部 建築意匠の論理
I 建築構成の基盤
柱の意味の基盤――実体と表徴のあいだに
部屋の意味の基盤――異化と同化のあいだに
II 建築における図像性
1 環境としての建物と対象としての建物
2 所有対象としての住宅
3 建築の形象の記号作用と象徴作用
4 建築の空間
5 建築での図像性とその機能 など