葛西 薫さんがデザインを手がけた印判平皿
「買えるブルータス UA店」で好評発売中

雑誌『ブルータス』がユナイテッドアローズ(以下UA)と組んで展開する期間限定のオンラインのショップ「買えるブルータス UA店」。実店舗に並ぶことのない30点を超えるスペシャルアイテムは、どれも所有欲を掻き立てるものばかり。思わずマウスに手が伸びてしまいます。

▲制作段階で葛西さんは、今回のプロジェクトに挑む心境を次のように語っています。「お皿や焼き物の専門家からどう見られるか、ドキドキした気持ちはあるけれど、とにかく無邪気に、無計算でやってみようということで進めています」。

洋服からアクセサリー、ホビーまでが集うラインナップでは、サン・アドのアートディレクターであり、長年UAの広告を手がけてきた葛西 薫さんデザインの平皿も登場。常々、“プロダクトのデザインは素人”と公言する葛西さんですが、テーブルウェアの制作・販売を行う東屋の協力のもとでつくられた皿は、その表情や形はもとより、高台などの細部に至るまで、実に魅力的な仕上がりとなっています。

▲葛西さんが愛用する青磁器を参考に、微妙な青みによって表現された線描。そこには、言葉にならない「心のモヤモヤや戸惑いだったり、幸せな気分、やる気満々な思い」などが投影されているといいます。

全9型の皿でまず目を惹くのは、プレート上を勢いよく走るブルーの線。子供の落書きのようにも見えるラインですが、これは以前から葛西さんが描きためてきた「言葉にならない言葉のようなもの」という線描をあしらったもの。そう言われると、1本1本の線が、声にならないさまざまな感情の表出のように見えてきます。もちろん、その読み解き方は手に取る人にとってもさまざま。とてもシンプルでいながら、多様な解釈を許容する懐の深さを持った表現は、実に葛西さんらしいといえます。

形状についても触れないわけにはいきません。四角とも楕円とも呼びがたい微妙な輪郭線は「スーパー楕円」と呼ばれるものです。デンマークの数学者であり詩人としても知られるピート・ハイン(1905~1996年)が提唱したこのフォルムは、長方形と楕円の利点を兼ね備え、特にスペース効率などの面で威力を発揮することから、建築や家具などの分野で多用されてきた形の1つ。そこに、「丸と四角の間にある、やわらかいけれど少し張り詰めた曲線が好き」という葛西さんの思いが重なり、今回の採用に至ったそうです。

▲「昔から、丸と正方形の中間にあたるこの形(スーパー楕円)が好き」と語る葛西さん。実は、葛西さんデザインのANDO GALLERYのマークもほとんど今回の皿と同じ形だそうです。

和紙に吸わせた呉須の絵柄を皿に重ねて転写する「印判」という技法を用い、1枚1枚が手作業で製作された今回の皿には、同じ表情がふたつとして存在しません。そんな「一期一会」のプロダクトだからこそ、実に人間らしい温かみが感じられるのかもしれません。食卓を彩る葛西さんデザインの皿は、各型45~50枚。お求めはお早めに。

葛西薫の印判平皿
お求めはこちらから 
販売期間:6月15日(日)24時まで
定価:3,150円(税込)

〜予告〜
今回紹介した印判平皿のデザインを手がけた葛西 薫さんのトークイベントを、4月25日(月)の19時より、アクシスギャラリーで開催します。詳しくはこちらから。参加をお待ちしています。
この講演会は定員に達したため、受付を終了しました。