衣服造形家・眞田岳彦が主宰の眞田塾
研究生による展覧会が開催 キーワードは「越境」

衣服造形家・眞田岳彦が主宰する眞田塾の研究生5名による展覧会がアクシスギャラリーで開催されている。毎回、眞田によりテーマが設定され、今回は「越境」がテーマである。

佐藤 綾は、「何ものでもない何か」を捉えることが越境の意味を捉えることにつながると考えた。「何か」と「何か」に挟まれた「間」は、どちらにも属せず、どちらへも行き来できる存在として浮遊する。縦横無尽に這い回る無数の色は、同時に何色でもない。日々の変化のなかで常に越境し続ける私たちの存在はどこにあるのだろうか。

「そこから見えるもの」という作品を制作した松田かやは、越境とは、あるきっかけを境にそのものを思い起こす感覚であるという。私たちは越境の中に生きているが、自身を取り巻くものを意識することで境が生まれ、境を発見することで、その先に隠れた姿や性質に気付くことができる。植物の種は、常に私たちの身近に存在し、その向こう側にある世界の入り口=境となる。

六境(色、声、香、味、触、法)という六つの感覚を境と捉えたのは山中周子の「サカイのセカイ”six borders”」だ。人間の皮膜を想起させるガラスの器のなかにそれぞれの器官が潜んでいる。

飯田亜希子は、ネクタイの生地の残布を素材に「秩序からの脱皮」を制作。秩序の象徴として社会と自分を繋げるためのネクタイになれなかった絹糸を再構築することによって新たな価値を見出す。視点を変えることで生まれたそれは新しい世界の境を結びつけるだろう。

人のかたちに展示された「おさまる」は、永井俊平の作品。大地から育ち、摘まれ、紡がれ、縫い合わされ、ラックに並び、人の肌を包む。いろいろなものが集まり、外からの影響を受けながら、様々なルールのなかで変化しながら越境し、やがて何かに収まっていく。

会場では、各作家が作品に関連するグッズを制作した販売コーナーも。

「眞田塾展’11 ─越境」

会  期:2011年4月16日(土)〜4月24日(日)

開館時間:11:00〜19:00(最終日は17:00まで)

ワークショップ:4月23日(土)14:00〜 随時参加可能。参加費300円。
各作品に使われている布や素材を使い、15分程度で簡単なアクセサリーなどを作ります。

眞田塾主宰 眞田岳彦