「水戸岡鋭治の大鉄道時代展 鉄道をデザインする」が好評開催中
会期は23日(日)まで

JR九州の「つばめ」や特急「ソニック」といった車両のデザインから、和歌山電鐵貴志駅の駅舎デザインまで、公共交通に関する多彩なデザインを世に送り出し続けてきた水戸岡鋭治さん。「大鉄道時代展」と題された今回の個展は、そんな水戸岡さんの仕事の全容に迫ります。

会場でまず圧倒されるのは、展示作品の数でしょう。アクシスビル内の2つの会場(AXISギャラリー&シンポジア)に並べられたイラストパネルの総数は200点近く。色彩豊かなパース画の筆遣いに目を奪われる一方、なかにはスタッフでさえ初めて見るという貴重な初期段階のアイデアスケッチなども紹介されています。パネルに描かれた圧倒的な情報を1つ1つ目で追うだけでも相当の時間を要することになりそうです。

▲会場には観光特急「あそBOY」の転換式親子シートも。このほか、西陣織の生地と木のひじ掛けを組み合わせた新幹線「つばめ」など、6種類の車両シートが楽しめます。

水戸岡さん直筆のイラストパネル以外にも、見所は少なくありません。机上で自由に閲覧できるスケッチ集や精巧な鉄道模型など……なかでも人気を集めているのが実物の車両座席です。車両シートとは思えないほど手間ひまをかけて製作された、実に座り心地の良いシート類は、すべて腰かけることが可能です。革張りの座席に身を委ねながらちょっと休憩してみたり、新たな旅情に思いを馳せたりと、思い思いの楽しみ方ができるでしょう。ゆったりとした気分に浸りたいなら、会場が込まない平日午前中が狙い目です。車両座席の“座り比べ”など、いかがでしょうか。

車両座席が鎮座する空間には、水戸岡さんが世界一の豪華列車をつくるという思いで開発に当たっている寝台特急「クルーズトレイン」の3つの車内プランを体験することもできます。また、クルーズトレインの空間の間には、KUROやTAMAといったお馴染みのキャラクターをあしらった小部屋もあり、親子で楽しめる仕掛けが他にいくつも用意されています。

今年に入ってからも「あそBOY」や「A列車で行こう」などユニークな車両を次々とデビューさせてきた水戸岡さん。現在も多くのプロジェクトを抱え、多忙を極めるものの、「できだけ会場にいたい」との思いから、しばしば展覧会場に足を運んでいます。すでに来場された人のなかには会場で水戸岡さんとラッキーな遭遇を果たされたという方も多いのでは。常に相手の気持ちを思いやり、笑顔を生み出すことを信条としてきたデザインに対する姿勢は、水戸岡さんのそんな行動にも表れています。デザインや鉄道が好きという人や、公共デザインに関心がある人には、強くお薦めしたい展覧会です。もちろん、それ以外の人にも多いに楽しめるはずです。明日15日(土)と、19日(水)の両日には、水戸岡さん自ら展示作品について解説するギャラリートークも開催されます。

▲こちらは地階1階、シンポジア会場の展示の様子です。

▲会場入口では、水戸岡さんの著書やデザインを手がけたグッズ類の販売も。

「水戸岡鋭治の大鉄道時代展 鉄道をデザインする」
主催:水戸岡鋭治+ドーンデザイン研究所、九州旅客鉄道株式会社、JR博多シティ
協賛:(株)ケイ・エス・ケイ、(株)ジェイアール九州エージェンシー
期間:2011年10月8日(土) ~ 23日(日)
時間:11:00~19:00(入場は18:30まで、最終日のみ16:30までとなります)
会場:AXISギャラリー(AXISビル4F)、シンポジア(AXISビルB1F)
入場料:無料
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