廃棄物からものづくりを学ぶ
「モノ:ファクトリー」を巡回展に

「発想はモノから生まれる」をコンセプトに、モノ:ファクトリーのお披露目を行いまいた。第6回でも書いた、体感して、学んで、発想できる場所。モノで学ぶ、モノを創る、モノが見つかる、21世紀型のモノづくりの拠点です。何ができるの? 具体的にはどんなところなの?ということで、10月29日から、西麻布工場を期間限定でオープンして、たくさんの方に体感していただきました。今回は私が印象に残った場面をいくつか紹介します。

まずは、モコメシさんによるパーティーの演出(上の写真)です。いや、これは今回のイベントのなかでいちばん驚いたことです。めちゃくちゃきれいでした。照明に照らされているものは、食べ物以外、すべてナカダイのマテリアル。早い話が廃棄物です。テーブルクロスは、ベビー・チャイルド用品メーカー、コンビの肌に抜群に優しい布を縫い合わせたもので、食べ物がのっているのは、シャンプーキャップが入っていた未使用のトレー……。実物を見ていない人には???というものだと思いますが、こういうマテリアルがナカダイにはたくさんあります。私も、たくさんの方にマテリアルの可能性は無限だと言葉では言ってましたが、パーティーの一員として十分な存在感を示すマテリアルたちは本当に輝いていました。そして、廃棄物とパーティーメニューを見事に融合させ、おそらく業界の常識を打ち破ったモコメシさんの仕事ぶりに脱帽です。もっと詳しい説明は、モコメシさんのホームページでどうぞ。

ナカダイでは、創ると壊す(解体する)が同時にできます。銅線を叩いてオリジナルリングをつくっているシーン(▲)とクルマのフロントガラスを砕いたものでペンダントをつくっているシーン(▼)。

ピンセットで粉々のガラスを積み上げ、専用の窯で焼くと、オリジナルのペンダントができ上がります。奥で立っている女性ふたり、葵さん岩井さんが講師です。おふたりともデザイナーで、金属をガンガン叩いて、削って、焼いて、また叩いてを繰り返すことで作品をつくるのが専門という、普通の(?)女性です。

解体するターゲットは、iMac、レーザープリンター、浴室乾燥機、チャイルドシート、ノートパソコンなどなど。これも、どのくらいの参加者がいるのやらと思っていましたが、心配無用でした。解体したい人ってあんなにたくさんいるんですね~。で、どちらのイベントも盛り上がりました!!と言いたいところですが、実は無言でした。カニ食べ放題状態ですね。もう、真剣です。声をかけるのも躊躇するほど。そして、創る、解体するという全く逆のことを同じ空間でやっているということが面白かった。ガンガン解体している横で、黙々とガラスを積み上げるシーン、または、オリジナルリングを叩くカンカンという金属の小気味のいい音が鳴り響く空間は、おそらく、モノ:ファクトリーでしか味わえません。これも、体感した人はラッキーでしたね。

最後に、解体して創ってを親子で一緒にやるワークショップ。どうですか? 子供の真剣なまなざしの先にはパソコンがあります。ドライバーでネジを回してます。そして、やさしく微笑みながら一緒にドライバーを握るお母さん。親子のコミュニケーションがあり、お隣さんと工具を貸し借りしたり、「このネジ取れば良いんだよ!」と得意になる子供たち。大きな笑い声がずっと会場を包んでいました。ナカダイのスタッフもカメラマンも全員がその雰囲気にどっぷりつかり、一緒に参加し、声を掛け合い、協力して解体してました。そして、創っていました。モノを目の前にしたとき、大人も子供も一緒ですね。

私は、子供たちの無邪気な“楽しい”と、没頭する大人の“楽しい”を体感しました。創り方や解体の仕方は教えていません。みなさんが試行錯誤して、自分で考え、自分で創りました。本当にやってよかったと思いました。

西麻布工場の次は京都工場です。好評だったので巡回展にします! 京都造形芸術大学で11月28日~12月5日まで行います。共催というかたちですが、どう表現するかは京都造形芸術大学の学生たちにかかっています。西麻布とは違う、京都工場ならではのモノ:ファクトリーが展開されます。西麻布工場を見逃した方、ぜひご来場ください。そして体感してください。同時に、自分たちでも工場をやりたいという方、会社の社員教育、デザインのトレーニング、学校教育、ワークショップ、モノ:ファクトリーはどんなことにも対応します。随時募集中ですので、お気軽にお問い合わせください。

最後に、生まれ変わったマテリアルたちを紹介します。(文/中台澄之)

この連載は株式会社ナカダイ前橋支店支店長・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。