「いいものをつくろうとする姿勢」

私たちが担当したのは、芦沢啓治氏のデザインによるSHELF。文系の学生だった私は、それまで図面を描いたことがありませんでした。デザインを製作図面にして、正確な情報を芦沢氏や協力会社に説明する。これだけでも大仕事だったのです。打ち合わせをしながら何度も図面を描き直し、聞いたことのない専門用語、それまで考えたことのなかった納期・予算についてなど、日々緊張感を持って、多くの方々と接していたのを覚えています。

協力会社にイメージを図面で伝え、技術・意匠・予算・納期などさまざまな側面から検討を重ねました。初めての仕事でこれだけ複雑なSHELFをつくることができたのは、何度もやり直しながら最終的に正確な図面を描くことができたからだと思います。図面を描くことを通して、さまざまなアイデアや意見を皆さんからいただくことができました。なにより「いいものをつくろうとする姿勢」を学んだと思います。

ものづくりにおいて、多くの人と多くのことを共有していくという難しさを感じ、それと同時に、意見交換を重ねていくなかで、どんどん精度を増していくことに面白さを感じました。多くの人と多様な問題を解決していったことで、でき上がったときの喜びも共有することができました。（文／二見志穂、SE事業部 第1PM統括部 営業）

「SLY TALL BOX」
デザイン：芦沢啓治（芦沢啓治建築設計事務所）
協力会社：（有）小野木工製作所、滝沢金属工業（株）　ほか
撮影：kenpo

展示や内装の設計・施工を手がける丹青社が、2009 年から新入社員教育の一環として行っている「SHELF制作研修」。本連載では、研修に参加された丹青社の方々に、それぞれの作品について語っていただきます。また、この研修成果については、20119月27日（火）〜10月5日（水）までアクシスギャラリーで開催された「人づくりプロジェクト　SHELF展」において、展示報告されました。