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グラフィック社編集部 編『世界の美しい本』

『世界の美しい本』
グラフィック社編集部 編(グラフィック社 2,940円)

副題は「世界で最も美しい本コンクール入選作品コレクション」。

冒頭に、印刷博物館学芸員・寺本美奈子氏による、「世界で最も美しい本コンクール」の解説がある。それによると、各国のブックデザインコンクールの入選作品がドイツ・ライプツィヒに集められ、毎年2月に「世界で最も美しい本」14点が選ばれるという。2011年の場合、世界32カ国から寄せられた596冊が審査対象だ。そして、“美しい”という感覚的な指標をどのように審査しているのか、各国のコンクール基準はそれぞれどのようなポイントから選ばれているのかといったことにも触れていて、背景がわかりやすい。

本書では、「世界で最も美しい本コンクール」で入選頻度の高い国々ーードイツ、オランダ、スイス、そのほかという括りで、約200作品を紹介する。そこで、はたと気になるのが日本の位置づけ。日本にも、日本書籍出版協会による「造本装幀コンクール」があるが、本書で触れられていないだけに逆に気になってくる。

とはいえ、過去4年間の入選作品約1,000点の中から、よりすぐりの200点余りを掲載する本書。作品集や写真集はもとより、展覧会カタログ、アニュアルレポート、イタリア語の学習書、刺繡の図案集、料理本、少数民族の歌謡集、絵本と内容は実にさまざま。表紙に何も書かれていない本、リソグラフで印刷された本、熱と電気で言葉が浮かび上がる本、段組が増えていく本、活版印刷と手製本でつくられた本……。さまざまに凝らされた工夫は見ているだけでワクワクすると同時に、アイデアの種が詰まった一冊とも言える。

装幀は、マスキングテープ「mt」のアートディレクションでも知られるiyamadesign・居山浩二。B5判、並製、208ページ。

以下、目次より。

世界で最も美しい本コンクール受賞作品

ドイツ造本コンクール受賞作品

オランダ造本コンクール受賞作品
スイス造本コンクール受賞作品

その他の造本コンクール受賞作品
(フランス、チェコ、イギリス、オーストリア、オーストラリア、カナダ、中国)