Any Tokyo 2013より
「Outofstock」によるガラスベース

秋のデザインイベントが都内各所で始まりましたが、気になるクリエイターや作品についてレポートします。

その第一弾は、バルセロナとシンガポールを拠点とするデザイナー4人のチーム Outofstock(シンガポール出身のガブリエル・タンとウェンディー・チュア、アルゼンチン人のグスタヴォ・マッジョ、スペイン人のセバスチャン・アルベルディ)。青山CIプラザの「Any Tokyo 2013」で作品を展示しています。

「The Weight of Blue(青の重さ)」というタイトルの展示は、Outofstockがドイツ・バイエルン地方で450年続くガラスメーカーのガラス職人とつくり上げた5つのベースとそのストーリーを紹介するというもの。

▲ 透明なクリスタルガラスから、含まれるコバルトの量によって青の濃さに違いが出るベース

ドイツで450年にわたり続くガラスメーカーFreiherr von Poschingerの手吹きガラス職人たちの中には25年以上、ガラスをつくり続けている職人もいて、彼らはガラスの色の濃淡を左右するコバルトや金といった化合物の分量がどれだけ必要か勘で把握していると言います。PANTONEの色見本帳のこんな青のガラスにしてほしいと伝えれば、その青を出すためにどれくらいのコバルトの量が必要か勘でわかるのです。

ガラスのデザインは、こうした職人たちのガラスづくりを横で観察するなか、決まっていったそうで、Outofstockのセバスチャン・アルベルディはこんなふうに振り返ります。「ガラスベースのデザインはドイツに行く前におおむね決めていたんです。でも、職人たちのガラスに対する深い知識と技に直接触れるなか、その場でデザインをつくり変えていったんです」。そこから含まれる「青」の量がそれぞれ異なる「青」を素材として扱うデザインが生まれました。

▲ 小枝を型にしたベース。Outofstockの名は、ストックホルムから離れてという意

展示会場では、5つのベースのほか、4人がバイエルン地方の森を散策するなかで見つけた小枝の上から熱いガラスを吹き付けることで小枝を型にした透明なベースや、ドイツでの出会いや発見から生まれたガラス作品(いずれもエディションピース)を展示しています。1978年、82年、84年生まれのデザイナーたちのみずみずしい感性にこれからも期待。(文・写真/長谷川香苗)


Any Tokyo 2013

期 間 2013年10月26日(土)〜11月4日(月・祝)まで
    11時〜20時

会 場 青山CIプラザ2階(東京都港区北青山2-3-1)
    外苑前駅4a番出口より徒歩2分、青山一丁目駅1番出口より徒歩5分

出展者 ダニエル・ウィドリッグ
    エマニュエル・ムホー × Coca-Cola Heritage Glass
    柴田文江 × 酒井産業
    h220430
    鳴川肇/AuthaGraph
    村山誠
    マティアッツィ
    マックス・グナワン × アークトレーディング
    平川紀道 × NIKE FUELBAND
    ノーザイナー
    アウトオブストック
    パブロ・パルド&ダナ・キャナム × アークトレーディング
    高橋良爾 田中章愛/VITRO
    トラフ建築設計事務所
    イヴ・べアール