「FUJICO DESIGN」
ーーLIVING & DESIGN 2013 出展に向けて

11月27日(水)から大阪市北区の大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で始まる住宅・家具関連産業見本市「LIVING & DESIGN」。その見所を「参加企業が語るLIVING & DESIGN」という視点で紹介するシリーズの2回目は、神戸を拠点に、“生活者のこだわりに応えるデザインキッチン”を掲げて3種のキッチンブランドを展開するFUJICO DESIGNです。

ローンチしたばかりの新ブランド「BFK2550」を引っさげ、FUJICO DESIGNとして初出展となる今回。代表の藤田幸大さんは、「価格帯にも幅を設け、かつ多様なニーズに応えられるデザインを切り口としたプロダクトをぜひ会場で見てほしい」と話します。多彩な選択肢から気分に応じてデザインを選ぶ“ドレスアップ”感覚は、キッチン空間に彩りや個性をもたらすと同時に、新たなビジネス機会を後押しすることでしょう。

生活者の感覚に寄り添うブランド展開

FUJICO DESIGNとは、私たちが展開する3つのキッチンブランドの総称です。フルオーダーメイドで、オーナーのリクエストに応じるKOBE STYLEを筆頭に、300種類のカラーから好みの扉の色などが選べるセミオーダーシステムのArtism(アーティズム)、そして10月から展開が始まったブラックフレームのシンプルなデザインが特徴のカスタムキッチン、BFK2550。アパレルはともかく、キッチンという商材でこのようにマルチブランドを展開する例はあまりないはずです。

▲ブランド発足から9年目を迎えたKOBE STYLEは、オーナーの価値観やセンスを存分に反映したフルオーダーのキッチン。唯一無二のデザインキッチンとして、すでに160件近い施工実績があります。

KOBE STYLEというブランドを発足して今年で9年目になりますが、ライフスタイルや感性をキッチンのデザインに反映させたいと、オーダーメイドを望まれる方は確実に増えています。ただ、需要は伸びていますがそれを叶えられる層はよくて全体の2割。残りの8割は予算の問題で断念を余儀なくされているのが実情です。結果、メーカーが提案する既製品から選ばざるを得ないのですが、選択肢の幅が狭く、デザインも20代、30代といった若い夫婦の感覚から乖離している。私たちはそうしたなか、エンドユーザーの気持ちや感覚を汲み取り、それほど予算をかけなくても自分らしいオリジナルなキッチンを手にすることができることを示したいと思い、ArtismとBFK2550という2つのブランドを新たに立ち上げました。

キッチンに、もっと個性を

会場で展示するBFK2550は、従来のキッチン概念を根底から変えることを目指して開発しています。基本のボディキットは、ドライバー1本あれば、DIYの要領で一般の人でも組み立てが可能。ガスや水道の配管工事はプロにお願いすることになりますが、施工費はかなり抑えられます。加えて、ステンレスの表面を酸化させてヘアライン目を残しつつ黒く染めあげたフレーム、余分な要素を削ぎ落としたシンプルな佇まい、アイデア次第でインテリアとしてさまざまな使い方ができる有用性など、デザインと機能の両面で高い要求に応じられるものとなっています。

▲展示のメインとなるのが、新潟・燕三条で加工処理されたブラックフレームを特徴とするカスタムキッチン、BFK2550。美しいヘアライン、無駄のないシンプルな造形も大きな魅力。

メーカーや施工業者からすれば、ユーザーを一定の型に落とし込むようなビジネスやサービスをしたいというのが本音でしょう。そのほうが効率がいいですから。しかし、今の人たちは型にはまることを敬遠する。私たちは予算応じて、イージー、カスタム、フルというオーダー方式を用意し、自分らしいオリジナリティを反映できるデザインキッチン市場の裾野を広げたいのです。

ビジネスの可能性を押し広げる

今回FUJICO DESIGNとして初めてLIVING & DESIGNに参加しますが、出展の決め手となったのは、この見本市がデザインと住まい、デザインとインテリアの関係を重視して構成されていることです。過去さまざまな展示会から出展の誘いをいただきましたが、機能性や利便性を追求したアイテムが並ぶなかで私たちの製品を展示しても特徴を訴えづらいと考え、なかなか参加に踏み切れなかった。そうしたなかLIVING & DESIGNであれば、業界内で異端に見られがちな私たちでも、存在や個性をきちんと伝えることができると思ったのです。

▲施工事例から。ブース内でもモニターを使ってこうした事例写真が紹介される予定です。

加えて、アーティスティックな方向に偏り過ぎていないのもいいですね。デザイン重視と言いましたが、あくまでしっかり事業として成立していることが前提。そういう意味でBtoB志向のLIVING & DESIGNには、新たな顧客やビジネスの獲得につながるチャンスや出会いがある。インテリアビジネスやデザインビジネスを押し広げるという思想が根底にあることで、出展効果にも期待が持てます。

交流を通じ、プロダクトデザインの発信源に

もともと私たちの事業は、デザイナーや建築家の方からの要望をカタチにすることから始まっています。無理難題に対しても、新たなことに挑戦するという意識で挑み、要望に応えてきました。現在はエンドユーザーの方を主対象にビジネスを展開していますが、ビルダーや設計事務所の方から望まれれば、経験を生かしてさまざまな提案をさせていただく用意があるので、会場で気軽に相談いただければと思っています。

▲FUJICO DESIGN代表の藤田幸大氏。「3日間会場に立ち、喉が枯れるまで製品の説明をしたい」と語ります。

主催者にも要望があります。レセプションとは別に、ぜひとも出展者同士の交流を促すような機会を設けてほしい。私たちの業界は、けっこう人付き合いで成り立っています。製品や技術について出展者同士がゆっくり情報交換できる場があれば、その交流をきっかけに、新しいものづくりに発展していく可能性も出てくるのではないでしょうか。製造業の集積度が高いエリアなので、こうした機会を通じて、この地が豊かなプロダクトデザインの発信源になってほしい。LIVING & DESIGNにはそうした街の個性を育む役割も期待したいですね。(文/編集部・上條昌宏)

LIVING & DESIGN 2013
会場大阪国際会議場(グランキューブ大阪/大阪市北区中之島 5-3-51)
会期:2013年11月27日(水)~11月29日(金) 10:00~18:00(最終日は17:00まで)
入場料:1,000円(招待状持参者、事前登録者無料) 事前登録はこちら
主催:LIVING & DESIGN 実行委員会

FUJICO DESIGNの展示ブースは、正面エントランスから入り、カフェスペースを抜けた突き当たり右手になります。

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