エヌ・シー・エヌによる
「MAKE HOUSE展」は10月26日(日)まで

東京ミッドタウン・ガレリアコートヤードで開催中のエヌ・シー・エヌ(NCN)による「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展」

▲ 鈴野浩一/禿 真哉「開かれた家」。間取りの変化に対応できる骨格をつくり、まるで家具をつくるかのように部屋を増やしたり減らしたりできる

▲ 谷尻 誠「高床の低い家」。傾斜地などさまざまな敷地に建てることが可能な高床式。基礎の工事も安価に抑えることができるという


これは、地震に強い木の家をつくるべく「SE構法」を開発したNCNが、さらに木材の「パーツ化」を気鋭の建築家7組とともに考えるというプロジェクトの中間発表となる展覧会。木材のパーツ化により、より安価に、早く家を建てられるようになるという。同時に、家づくりがシンプルになることで、住む人が自分で増改築したり、設計にも参加するなど、より開かれた透明性の高いものになると考えられる。

そもそも「耐震構法SE構法」は、多くの家が倒れてしまった阪神淡路大震災をきっかけに開発されている。鉄骨造やRC造で主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れ、高い耐震性を確保。これまで木造住宅に必要だった耐力壁や床といった制限を取り除くことで、大きな空間をつくることができ、同時に、自由度の高い設計が可能になったという。2004年には「無印良品の家」にも採用されている。

▲ 長坂 常「つくる家」。住み手がセルフビルドでつくる家。長坂は「住み手が住宅の成り立ちを理解することで、未来を想像できるようになる。そのことが自ずと新しい豊かな暮らし方を実現するのでは」と記す

▲ 中山英之「大中小の家」。柱や梁をパーツ化する代わりに、3つのサイズの異なるテーブルを配置。「大きな屋根の下で、家具を並べるように生活の場をつくる」提案は、なんとも中山らしい


7組の建築家が提案するのは、「これからの木造住宅のあり方」や「それにふさわしい規格寸法」「住宅ビジネスの仕組み」まで、アプローチはさまざま。日ごろから住宅設計を数多く手がけている建築家ばかりゆえ、各プランにはリアリティがあり、NCN代表取締役社長の田鎖郁男氏も、「今回発表したプランは、すべて実際に建てます」と言う。なかには、すでに動き始めているプランもあるそうだ。

住む人が参加する家は、以前ならば敬遠されたかもしれないが、今は多くの人が関心を寄せているに違いない。家づくりがより人々に近づき、開かれていく。そんなプロジェクトのように感じられ、今後の展開にも期待したい。

▲ 藤村龍至「柱と梁の家」。プロジェクトの途中では、「みんなが考える家らしいフォルムとは何か」を膨大な資料を集めリサーチしていた藤村。SE構法の原点に戻り、柱と梁の2つのパーツに絞り、家の中心には大黒柱を配置する

▲ 藤原徹平「内と外の家」。SE構法の利点を「信頼できる剛接合、接点の強さ」と考え、住宅全体の接点の数を増やして強度を確保。それにより光や風を多く取り込める、環境に開いた家となる

▲ 吉村靖孝「アプリの家」。SE構法の構造計算のシステムに着目し、住む人がダイレクトに設計できるソフトウェア(アプリ)を開発。展示会場では、そのβ版を実際に操作でき、それにより住宅の価格も即座にわかる


「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展ーー
 SE構法とパーツ化が可能にする、木の家の新しいつくり方」

会期 2014年10月17日(金)〜10月26日(日)
   11:00〜21:00(入場無料)

会場 東京ミッドタウン ガレリア コートヤード (東京都港区赤坂9-7-1)

参加建築家 鈴野浩一/禿 真哉(トラフ建築設計事務所)、谷尻 誠(Suppose Design Office)、長坂 常(スキーマ建築計画)、中山英之(中山英之建築設計事務所)、藤村龍至(藤村龍至建築設計事務所)、藤原徹平(フジワラテッペイアーキテクツラボ)、吉村靖孝(吉村靖孝建築設計事務所)

主催 株式会社エヌ・シー・エヌ

監修 播 繁(構造家)、池田昌弘(構造家)

企画 岡田栄造

グラフィック 原田祐馬