ビジネスアーティストとして
「改善活動と未来への挑戦」

今回は、この連載をあまり読んでないかもしれない同業者を意識して書きたいと思います。廃棄物業者として、こちらに書かせていただいているのもありがたい話なのですが、この記事を読む廃棄物業者さんもなかなか珍しいと思いますので、反響が楽しみです。私が新たな肩書きとして、理念や想いを武器に新しいビジネスをつくり上げる「ビジネスアーティスト」と名乗りはじめて1年ちょっとたちます。最近、やっとその意味がわかりはじめた気がしています。いまさら!?と言われるかもしれませんが、理屈ではなく、体感することができてきたという意味です。

法人、個人問わず、もちろん、企業かNPOかも問わず、環境を良くしようとする仕事や活動はたくさんあります。そして、私たちの同業者もたくさんいます。それぞれがそれぞれの特徴を活かして日々努力しています。少し話が変わりますが、私の会社では頻繁に改善活動を行っています。各部署が自らの課題を発見し、さまざまな手法を使い解決します。自主性も生まれ、一体感も出ます。しかし同時に、その改善で生まれた資源をどう使うかという課題も発生します。つまり、改善によって生まれた時間を会社としてどう使うのか? 生まれた人的パワーをどう活かすのか?という課題です。ほとんどの会社の大きな課題はこれではないかと思います。

社員の改善で生まれたパワーを既存事業の拡大に使えた時代は、社員の努力がそのまま力になりました。今は、生産の海外移転や商品の多様化で、単純に拡大すればいいという話にはなりません。その愚直な努力を活かす場所をつくらなければならない時代になっていると感じます。だからと言って、革新的な技術や斬新なアイデアがポンポン出るわけもなく、現実的には自社を分析し、自分たちの事業を解釈しなおして、強みを活かすという、よくある手法しかありません。そして、これを言われたからやるのと、なぜそれが必要かをしっかり理解してからやるのでは真剣さが違います。当然出てくる結果も違います。自分たちの事業に潜む別の魅力をどう活かして未来につなげるかという発想が必要です。そして、おそらく、これがビジネスアーティストがやるべきことなのだと思います。

投資をする際にはカンではなく、しっかりした事業計画が必要です。費用対効果や投資効率を考える必要があります。しかし私は投資を“将来のビジネスチャンスのために備えるもの”と捉え、今やることが必要か・意味があるかではなく、やらないリスクを考えます。過去と比較する“改善”に対して、未来へ勇気を持って“挑戦”する力を加えること、これがビジネスアーティストの仕事であり、今、私たち廃棄物業者に求められている最大の仕事だと考えています。

写真は、新しいモノ:ファクトリーです。生産工程の見直しを行い、工場内にあったモノ:ファクトリーを閉鎖し、新たにオープンすることになりました。オープンが決まりましたらお知らせします。

同業の数社に対してすでにコンサルティングを始めています。今、私たちができることをやらなかったときの将来のリスクを考えると、私たちの業界が一丸となって挑戦することが重要だと思っています。そのために、私たちが成功事例をつくること、関与している廃棄物業者が業務を拡大することが大事です。企業の方には自社の廃棄物を委託する業者に啓蒙をお願いします。そして、同業他社の方、お気軽にお問い合わせください。必ず、総合リサイクル業として成功に導きます。(文/株式会社ナカダイ 中台澄之)

この連載は株式会社ナカダイ常務取締役・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。