人づくりプロジェクト展2015「私たちがオクルモノ」レポート
【その3】

商業・文化施設などの空間づくりを行う丹青社。同社が新人社員教育の一環として 2005 年から実施しているオリジナルの実践型研修「人づくりプロジェクト」の2015年度の成果13作品を4回にわたって紹介しています。テーマは「私たちがオクルモノ」。人づくりプロジェクト展2015「私たちがオクルモノ」は昨年10月1日〜6日まで東京・六本木のアクシスギャラリーで開催されました。

「OTHELLO」
新入社員/大塚愛美、賀本 航、清水恵大
デザイナー/長岡 勉(POINT)

1) コンセプト
何個か並べることで小さな景色を楽しむ台。1つの台に花を挿すと花器になり、もう1つは何もせず置いておく。そこに小さな余白が生まれる。台の上下をひっくり返すとオセロのように表情を変える。新たに生まれた景色をそこで楽しむ。

2) 新入社員が学んだこと
さまざまな人々が関わることを身を持って感じ、私たちの判断がそのすべての人に影響することを学んだ。ただ指示に従っているままでは心を動かすことも、意図を読み解くことも、人々に理解されることもない。

「紗卓」
新入社員/辻村宜紀、矢島進之介(株式会社オリエンタルランド)
デザイナー/橋本 潤(フーニオデザイン)

1) コンセプト
「感じる」体験。「感じる」とは、外からの刺激により心を動かされること。このプロダクトを見た人、製作に関わった人などがこれを見ることで、個々が何かしらを「感じる」体験。それが「オクルモノ」である。

2) 新入社員が学んだこと
「つくる」ときにはあらゆる視点が存在しており、その視点を共有することは困難である。何かを感じるには、それなりの心構えが必要だし、経験することでしか見えない領域が存在する。また、自分の役割を固定することはチームの成果を著しく下げることになる。

「session」
新入社員/近藤里虹、髙橋亜由美、林 大
デザイナー/上垣内泰輔、鈴木篤志(丹青社)

1) コンセプト
これから出会うであろう仲間たちへ、野外イベントでの出会いをより楽しく、より印象的な体験にするツールをオクリます。ひとりひとり集まってくると、ひ1つ1つ咲き始める花のような野外用のテーブルをつくりました。

2) 新入社員が学んだこと
自分の考えを明確にし、具体的な意見を述べなければ、物事を次のステップに進めることはできない。「誰かが決めてくれるだろう」という甘えがあると自分の考えが曖昧になり、具体的な動きや目的がわからなくなってしまう。

「Aluminium Chair」
新入社員/阿部小雪、和田 栞
デザイナー/角田陽太(YOTA KAKUDA DESIGN)

1) コンセプト
ほんの少しだけ小さくて重ねられる椅子。

2) 新入社員が学んだこと
コンセプトワークとか、デザインワークとか、制作とか、それぞれがバラバラじゃだめだ。言葉を漠然と聞いているだけでは、その裏に隠れた真意がわからず、モノをつくることができない。

写真(会場)/長谷川健太
写真(プロダクト)/尾鷲陽介

前回までの記事はこちら

丹青社のホームページはこちら