パリの老舗ホテル「ル・ムーリス」のメイン&セカンドダイニングの空間
スタルク親子によってリニューアル

ここ数年、大規模な改修が相次いだパリのホテル。その中心となるのが「パラス」と呼ばれる5つ星を超えた最高位にランクされる超高級ホテルです。

リボリ通りに面したチュイルリー公園の正面という絶好のロケーションに建つ1817年創業の「ル・ムーリス」もその1つ。第二次大戦時にパリを占領したナチスが駐留本部を置いたり、画家のサルヴァドール・ダリが定宿にするなど、ホテルにまつわる逸話は枚挙にいとまがありません。

2007年にいち早く大規模リニューアルを敢行したル・ムーリスですが、建物の歴史に敬意を表しながら伝統と現代を調和させたインテリアデザインは、その後のホテル改装の流れに大きな影響を与えたといわれています。

▲ 今回のリニューアルはダイニングを含むパブリックエリアが中心。「ル・ダリ」では、照明器具やテーブルの刷新に加え、空間に威厳を与える支柱などが新たに加えられています。

そんなホテルのメインダイニングとセカンドダイニングの空間が10年ぶりに刷新されました。手がけたのは07年のリニューアルを担当したフィリップ・スタルクとその娘であるアラ・スタルク。細部に手を加えた空間は、以前よりもピュアで輝きを増した印象を受けます。

▲ スタルクの娘、アラが描いた「ル・ダリ」の天井画。

セカンダイニングの「ル・ダリ」では、テーブルと椅子も一新。アラ・スタルクが描いた天井画には新たに縁取りが加わり、ゴールドや色の色合いがラグジュアリーかつ劇場的な空間を演出しています。

▲ ホテルの回転とびらをくぐるとロビーに体験型のアートピースが出現。氷結させた壁面を指でなぞって、絵やメッセージが書き込めるという趣向。

「人の行き来が絶えないホテルは、絶えず変化が求められる空間。伝統的な要素を守りながら、モダンであることも重要なのです」と話すのはル・ムーリスの関係者です。訪れた人々を非日常の世界に誘うには、そんな醍醐味を随所に散りばめる必要があるのかもしれません。週末の朝、メゾン・エ・オブジェのプレスツアーにこの場所が組み込まれた理由は、案外そんなところにあるのかも。

ル・ムーリス
228 rue de Rivoli 75001 Paris France

Tel. +33-(0)1 44581010

Fax. +33-(0)1 44581015
https://www.dorchestercollection.com/en/paris/le-meurice/