9月初旬のパリは、2つのデザインイベント
「メゾン・エ・オブジェ」「パリ・デザインウィーク」に注目

「メゾン・エ・オブジェ」の9月展が、2016年9月2日(金)~ 6日(火)まで、パリ郊外のノール・ヴィルパントで開催されます。毎回デザイン関係者が関心を寄せるインスピレーションテーマは「ハウス・オブ・ゲームズ」に決定。スタイルやジャンル、時代性をもてあそびながら、予想のつかない意外性に富んだクリエイションを提案します。また、新たな装飾コードにおいて切り札となるカラーには「赤」をピックアップ。歓喜に満ちた官能的な世界観と欲望を誘う魅惑的な表現に注目します。

ネリーロディ社のヴァンサン・グレゴワールは、インスピレーションテーマについて「過度なミニマリズムから、新しい奇抜なデコレーションが浮上しています。重要なのは、驚きを与える、あるいはセンセーションさえ巻き起こすような力です。新しいダンディなバロックスタイルには、空想、奇抜さといったものに十分な可能性が残されています」と話します。同テーマに連動したホール7のカフェ&ブックスの空間デザインでは、赤と白の巨大なチェス盤にいくつのもハンギングチェアが並び、訪れた人たちをゲームの世界へ誘う演出を施し、テーマの雰囲気を盛り上げます。


▲ 9月展のデザイナー・オブ・イヤーに選出されたイルゼ・クロフォードとオランダのアーティフォートから発表されたスツール「PERCHING STOOLS」。

プロダクトデザイン(1月)とインテリアデザイン(9月)分野から交互に選出されるデザイナー・オブ・イヤーには今回、ロンドンを拠点に活動するイルゼ・クロフォードを選出。英『エル・デコ』の初代編集長を務めた後、インテリアデザイナーへ転身。「イソップ」の店舗設計やヴィトラハウスのリデザイン、イケアとコラボレーションしたコレクション「スィネリグ」(本誌177号、P56にて紹介)などを手がけるなど彼女の世界観を凝縮した展示はホール8で展開されます。インテリアにおけるトレンドセッターのひとりであるクロフォードの発想と感性に触れると貴重な機会であると同時に、彼女の視点を通じて描かれる新たなデザイン動向にも注目をしたいところです。

9月展のメゾン・エ・オブジェは、9月3日(土)~ 10日(土)までパリ市内で開催されるパリ・デザインウィークとも連動。将来有望なデザイナーの発掘を目的に行われるコンテストラドースター賞の受賞作の展示を筆頭に、デザインを学ぶ学生の提案から気鋭の若手まで、多彩なアイデアやデザインが市内各所で披露されます。カクテルを傾けながらデザイナーと気軽に談笑できるのも魅力の1つでしょう。

変わり行く時代や価値感と変わらず存在し続ける物事が交錯しながらも、デザインの今をはかれる定点的存在として、9月初旬にパリで開催される2つのデザインイベントからは目が離せません。

メゾン・エ・オブジェ 9月展
会期:2016年9月2日(金)~ 6日(火)
会場:パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場
http://www.maison-objet.com

パリ・デザインウィーク 2016
会期:2016年9月3日(土)~ 10日(土)
会場:シテ・ド・ラ・モード・エ・デュ・デザイン(レ・ドックス)ほかパリ市内各所
http://www.maison-objet.com/fr/paris-design-week