昭和女子大学 生活科学部 環境デザイン学科 プロダクトデザインコース
「身近な人を笑顔にするデザインを」

アクシスビル地下1階のシンポジアで、什器づくりから運営までを学生たちが担った展示だった(2月3日〜5日)。展示のテーマは「MUSUBI」。「これまで出会った人、これから出会う人との結び」や「過去と未来を結ぶ、時の結び」「4年間の集大成である結び」という3つの意味を含ませている。生活に寄り添うデザインが特徴的で、昭和女子大学 生活科学部 環境デザイン学科 桃園靖子教授は「誰かのためであったり、使う人を笑顔にしたりする作品たちが集まりました。展示自体も教授陣が関与しなくても、運営できる頼もしい学生たちです」と語る。

園田稚彩「人間ネット」

プロダクトデザインコース内の評価で最優秀賞を受賞した園田稚彩さんは、みかんなどを入れる棒ネットから着想を得て、パフとシュラフの機能を兼ねた、自由にかたちを変えられるプロダクトを制作した。ジャージに使われるニットカシドスというポリエステルを用い、手縫いで仕上げたという。

須田彩絹「ALMOST GONE」

ペーパークイリングの手法で絶滅危惧種の動物たちを表現したのは、須田彩絹さん。動物ごとに細かく毛並みをかたちづくり、動物の背が低くなるにつれて、現存数が少ないということを表すなど、工夫が見られた。紙を素材に選ぶことで、儚さや死を考えさせる一点ものの作品だ。

山木美香「OTOHACO」

山木美香さんは、音のデザインを通して、子供を対象にした18種類の玩具を提案。親しみやすく使ってもらうために、サイズも十分に検討したという。グラフィックからパッケージまでをデザインしており、子供が喜んで使う様子が想像できる作品だった。

奥田優子「oyufont」
何を表現するかではなく、どう表現するかをテーマに、造形やルールに視点を置き、いちから文字を起こした。

遠山夏海「amatsubu」
自ら吹きガラスの工房を訪ね、納得のいく雨粒の形まで粘り強く制作した。

会場では、白い什器に色鮮やかな作品たちが展示してあり、それを見る来場者にもしばしば笑顔が見られた。それは桃園教授が語るように、身の周りの人ために制作したからこそであろう。笑顔が絶えない展示は多くの人を幸せにすることができる、と実感した。(文・写真/今野敬介)

昭和女子大学 生活科学部 環境デザイン学科 プロダクトデザインコース
卒業制作展[MUSUBI}
2月3日(金)〜5日(日)
アクシスビル地下1階 シンポジアにて