お財布よ、さようなら。
割り勘できて、利息もつく中国の「アリペイ」

▲もう財布はいりません、スマホでピッの時代です。Photos by Misa Nakata

みなさんこんにちは。

上海に来て、買い物や公共交通機関を利用するときによく見かけるのが、スマホの画面でバーコードをかざして決済している姿です。

アプリを通じてより快適な暮らしを、というのがここ数回のテーマですが、今回は財布いらずのアプリ「アリペイ」をご紹介します。

銀行カードとつながっていて、もしくはアリペイの中にお金をプールしておいて、そこで決済するというイメージですが、面白いのがお店やネットモールへの支払いだけでなく、友人同士で割り勘もでき、財布を持っていなくても全く困らない、というのがこのシステムの良さです。

加えて、アリペイのシステムの中にお金を入れておくと、なんと年率3~4%の利息が付くとのことで、日本の銀行に預けるよりよっぽど高利回りなんです!

ちなみに、僕が財布にお札をたくさん入れているのを見て、ローカルのメンバーがいつも驚きます。その理由を聞くと、お札の枚数に驚くのではなく、未だに財布を使っていて、かつ無数のお札を突っ込んでいる姿が、いかにも前世代の古い人間に見えるらしいです。

「津田さん、お財布を盗まれたらどうするんですか」「スマホなら困りませんよ」とのこと。

飲食店によっては、最初からアリペイ決済前提のところがあります。入り口にあるメニューを書いたタブレットから注文します。その後、スマホをかざして決済し、自動的に席に料理が運ばれてくるという仕組みです。

もはやレジがない、つまり財布とお札では入ることもできない店が存在するという感覚が、今の中国の姿です。

僕もこれに慣れてしまい、財布を持たずに買い物に出かけることが増えました。汚れたお札に触れることもなく清潔なので、もうやめられません。

▲バーコードを読み取るだけ、一瞬で電子決済されます。

今の中国経済を引っ張っているのは、30歳前後の富裕層だと言われています。日本のお金持ちはシニア層が中心で、前衛さより安定感を求める傾向ですが、成長著しい中国では、若い感性で常に新しいものを欲し、かつ海外経験や異国の友人を持ったグローバル感覚に溢れる世代が中心です。

そういう人たちが、ネットを通じてさまざまな情報をつなげ、新しいチャレンジをビジネスに乗せて実践する。また人々はそれを難なく受け入れて、自分のリアルな生活の一部にどんどん取り入れていく。

中国は、世界の工場と呼ばれていた外資を取り込んで成長する時代から、今は世界の一大情報集積地へと変貌し、内需活性化を目指す流れになっています。逆に欧米や日本では思いもつかなかった斬新なアイデアを生み出す時期を迎えています。いずれそれらを世界に発信し、新しいスタンダードを生み出していく時代がやって来るのではないか? それを実行できる若くて前向きな活力が中国には溢れています。

そのための武器が、ひとり1台を常に持ち歩くスマホであり、中国流に進化したアプリです。日々新しくなる上海の暮らしを見つめながら、このうねりは大きなビジネスチャンスだなぁ~!と考える今日この頃です。End

▲アリペイに加え、WeChat(微信)も有名です。