秋のデザインイベントで発見した
魅力的なCMF(COLOR MATERIAL FINISH)

東京では毎年秋から冬にかけて新製品展示会やデザインイベントが多く開催されます。今回は初めて東京で企画されたDESIGNARTを取り上げます。 DESIGNARTはDESIGN+ARTの造語です。ここでは特に気になったCMFをふたつご紹介します。

まずはマテリアルコネクション東京で開催されている「MATERIAL DESIGN EXHIBITION 2017」からAGC旭硝子×伊藤聡一氏による「龍の鱗」。この作品はガラスと薄い天然木材を貼り合わせたガラス装飾パネルでできています。光を当てるとガラスを透かして木目の質感がはっきりと見え、角度を変えると柄や干渉色(干渉色:複数の色の波長の重ね合わせで見える新しい色の波長のこと)が変化して見えます。それにより不思議な立体感が感じられ、とても興味が湧きました。組み換えできるテーブルトップや白物家電、自動車内装に展開できるのではないでしょうか。最新スマホの磁気充電に対応できれば更に付加価値が向上するでしょう。

続いて荒川技研ショールームオープニングイベントで開催された「EXPERIMENTAL CREATIONS」から狩野佑真氏による「錆の収穫」。錆びた金属表面にアクリル樹脂を蓄積させ金属板からアクリル樹脂を剥がすことで、錆のみをアクリル樹脂に転写するという工法で制作されています。光を通すと樹脂の向こう側と手前側、両サイドの錆が複雑な陰影を帯びます。透け感があり、斬新かつモダンで魅力的です。

今秋の展示会やイベントではコンセプトアピールが強いものが数多くありました。なかでも気になったこれらCMFに共通していたのは「透明×色材層」です。ひと言で言うならば「透明感のある層」でしょうか。

2018/SSパリコレ(2018年春夏Paris Fashion Week)でも、ChanelやValentino、MiuMiuといった有名ファッションブランドがビニールやチュールなどの「透明素材」を素肌やカラフルな服の上に重ね着することで、春夏にふさわしい空気感や軽快さを醸し出していました。「空気感のある層」が新しいポイントになりそうです。

われわれD-Logは塗料でいくつもの色の「重なり」を研究していますが、「層」に秘められた可能性をあらためて感じました。End