不均一なモノに何を見る?

▲(上段左から)竹尾展示会 現象体「インクのレンズ」, 娘の作品「かき」(3歳児), 金沢21世紀美術館 川越ゆりえ「弱虫標本」, ローマングラス (下段左から)能作「100のそろり」, くるみボタン, 竹尾展示会 現象体「インクのプリズム」, 金沢21世紀美術館 川越ゆりえ「弱虫標本」

不均一なモノがもつ味わいに惹かれます。
完成度の高いものが当たり前のようにあるなかで、ちょっと不恰好で不均一なモノがもつその何とも言えない存在感に釘付けになり、いつまでも見ていたくなります。

その魅力は一言でいうと「心地いい中途半端感」だと思います。あるべき場所になかったり、まだらだったり、向きがバラバラだったり……つくり手の意図を良い意味で裏切った瞬間にだけ遭遇できる偶然の賜物です。静物でありながら動的なパワーを感じる点も味わいなのではないでしょうか。

私が普段の生活のなかで遭遇した、味わいのあるモノをいくつかご紹介したいと思います。

慎重に描いたはずなのに……!?

こちらは先日、道を歩いていたときにふと見つけたマンホールです。丁寧に慎重に円を描かれたのだと想像しつつも少しゆがんだ丸に温かい気持ちになり、思わず微笑んでしまいました。

余白が躍動感を与えて。

           

続いては、とあるセミナーを聴講した際の休憩時間のひとコマです。最初はテーブル一面にたい焼きやおまんじゅうが並んでいたのですが、1匹、2匹と手に取られていくうちに余白が出現!あっという間にテーブルの表情が変わって動きが感じられ、パラパラマンガを見ているかのような感覚を覚えました。

不均一を物ともしない魅力。

不均一の代表選手といえば、やはり子どもの作品です。「好き」という素直な気持ちや、つくっているときの楽しい気持ちが伝わってきます。この何ともいえないバランス感覚は大人になってしまうと決して手にすることができない、かけがえのないものだと思います。

私たちが取り扱っている塗料は、よく「半製品」という捉え方をします。塗装するものがないと色として存在することができないからです。塗装の対象物は工業製品なので均一さを求められますが、不均一さゆえに美しく見えるような意匠を表現することができたら市場に新しい風を送り込むことができるのではと思います。

塗装によって工業製品の表情を変化させられるような、不均一で味わいのある「半製品」を追求してみたくなりました。