廃棄物屋での長期インターンシップを体験

ナカダイの近くにある共愛学園前橋国際大学からインターンシップで渡辺さんという学生がナカダイに来ています。しかも、昨年の9月末からこの1月末まで、月、水、金の週3回、社員とほぼ同じ時間、仕事をする長期インターンシップです。そんな彼女は出勤初日からブログを書いています。

私はもちろん社員全員が多くの人に自分たちの仕事を知ってほしい、楽しんでほしいと、工場見学を受け入れたり、ワークショップをやったり、新しいビジネスにチャレンジしたりと頑張っています。一応(?)表向きは良いことばかり言っているナカダイですが、外からでは見えない生のナカダイを発信してもらおう、しかもお客さんの機密事項以外はノーチェックで。正直、まだまだ社内には問題も課題もあるけれど、実際どう思う? 何を感じる?というところを正直に発信してもらっています。

現場も体験します。作業を手伝わせるのではなく、実際にやってみて、何を感じたかが大事です。少しやるのではなく、1週間やると、暑い日、寒い日、風が強い、重い、汚い……。まぁ、いろいろあります。それらすべてがナカダイの現場です。その現場によって私たちのポリシーは支えられています。
最大の収穫は、そこに私たちが想像しなかったような新たな発見があるということ。良いと思っていたことがそうでもなかったり、気にもしてなかったことを喜んでみたり。渡辺さん個人の感性をナカダイに取り込んでいく瞬間です。個人の“多様な価値観”に年齢、肩書は関係ありません。その蓄積こそ、ナカダイの強みとも言えます。

大学と共同でさまざまな講義やワークショップもしています。先日、今後大学でも力を入れていきたい自ら仕事を創り出す「起業家人材育成ゼミ」のトライ授業のようなものを行いました。他社の事例をもとに、一流の仕事を継続して生み出す仕組みや斬新なアイデアの源泉についてビデオを見ながら皆で議論しました。社会人になってしまう前に、たくさんの人たちと意見集約をし、正解がない課題について議論します。こちらにも渡辺さんは参加。上のイラストは写真を撮り忘れたため、必死に描いたものだそうです。

授業では、数カ月とはいえナカダイで経験した“自己表現”を実践しました。頭で理解したことを実際に自分の仲間や同世代の中で表現。これからの社会人には自分で考える力が必要、イノベーティブな思考力が必要などいろいろと言われていますが、はたして実際にどんなものなのか? さまざまな感性を融合して何かのかたちに昇華していくプロセス、そのなかに少しでも自分の感性を入れることのできる表現力をインターンシップをとおして理解し、社会人になる前に実践する。これも大きな財産です。

ところで、学生にとってはいろいろと体験できる長期インターンシップですが、企業側の受け入れる意義とは何か? 自社に就職するかもわからない学生が会社に来る、一日体験じゃなくて、4か月も。廃棄物業者の実態はあまり知られていません。そんなよくわからない廃棄物業を学生が楽しんでくれるということは、それだけ魅力があるのかもしれません。新しい発見があるかもしれません。私たちにとっては、数年で社会人になる若者の意見を無料で取り入れることのできる大きなチャンスです。業界のことを知らない新人同様、その学生に自社の魅力を伝えられるのか? 今の新人教育制度は機能しているか? 若手社員は部下を指導する立場になることで、自分の仕事の理解が進みます。

長期インターンシップを、学生にとっての職業体験の制度としてとらえると魅力半減です。小・中・高・大学・社会人を卒業する・採用するというような矢印でつなぐのではなく、すべてを社会という”器”で支えるイメージ。新しい社会のあり方は、新しい教育の捉え方そのものなのかもしれません。End