クラフトとしてのフレグランスを提案。
カヤ・ダール
「タプティ・アンド・シー」

▲ Photos by Frances Marais

「タプティ・アンド・シー」は新しいコンセプトのフレグランスです。海綿でできたハンドル部分の先端には、ナチュラルなオイルとワックスで形成したハンドメイドの練り香水が付き、肌の温度によって成分が溶け出す仕組みになっています。ビスポークな香水を包む容器にはクラフト性を重視し、吹きガラスを採用しました。

ちなみにタプティとは、メソポタミア時代の女性化学者であり調香師の名前です。香水づくりにおける失われた伝統を考察しながら、フレグランス自体をクラフトとみなしたものづくりを試みました。

タプティ・アンド・シーは、もともとスイスのローザンヌ美術大学ECALでの卒業制作として2015年に発表しました。2017年3月に南アフリカで開かれたカンファレンス「デザイン・インダバ」に招かれた際、主催者からあわせて「ケープタウン・エディション」の制作を依頼されたのです。ケープタウンの大地と海を想起させるような香りを新たにつくり、それはギフトとして渡されたスピーカーたちから好評を得ることができました。

次回はぜひ「東京エディション」を制作してみたいと考えています。End

ーーデザイン誌「AXIS」187号より