【ミラノサローネ2018】今年はこう変わる!
見逃せないブースをエリア別に紹介

▲昨年のミラノサローネ、フィエラ本会場の様子。

2018年のミラノサローネ、
エリアごとの特色、見所を紹介

今年もまた「ミラノ国際家具見本市」、通称ミラノサローネの時期がやってきた。2018年4月17日(火)から22日(日)まで、ロー・フィエラ会場で開催される世界最大級規模の家具とデザインの見本市だ。

1961年にプラスチック製の安価な大量生産家具の台頭を懸念した300社足らずのイタリア家具メーカーが結束し創設されて以降、1967年には海外メーカーにも門戸を開くと、質の高いモダンデザインが世界中から集まるようになった。現在では毎年2,000社以上の企業が出展し、クラシックからコンテンポラリーまで幅広い様式の家具が発表される場として、ミラノサローネは他に類を見ない存在感を誇っている。

そして同時期にミラノ市街で行われるミラノデザインウィーク。フィエラ本会場の外、という意味で「フオーリサローネ」と呼ばれるこの巨大イベントこそ、ミラノがデザインで溢れる1週間となるゆえんだ。1998年に雑誌「インテルニ」が旗振り役となって、市内に散らばる各インテリアブランドショップやギャラリー、特設会場で開かれるデザインイベントをとりまとめ、1冊のガイドブックとして無料配布を始めた。各会場入り口にはインテルニの旗が掲げられ、それを目印に人々が展示を回る。出展数は増え続け、昨年は400以上。さらに近年はインテルニに情報を掲載しないブランドや独立系デザイナーも増えつつあり、イベント数は1,000とも2,000とも言われている。

ミラノサローネ本会場とフオーリサローネを1週間で見尽くすことは到底できないが、エリアごとにどういった展示が開催されるのか分類しておきたいと思う。フィエラ本会場以外のエリアは大きく10に分けられる。

▲地図で確認すると、サローネの規模感もイメージできる。

Tortona(トルトーナ)

旧運河沿い、工場跡地や使われなくなった建物がリノベーションされて貸し出されるため、ミラノサローネ期間中の特別出展がひときわ多いエリア。モーイは数年このトルトーナで大型展示を行っている。ソニー、nendoの個展、マテリアルコネクション、BMWミニリビング、ミーレ、ノルウェージャンプレゼンス、ステラワークスらが出展。アッシュコンセプトはポップアップストアを開く。

▲(左上から時計回りに)nendo、ソニー、マテリアルコネクション、ミーレ。

5vie(チンクエヴィーエ)

アンティークギャラリーやショップが点在する5叉路にまたがるエリアは、チンクエヴィーエという名称で5年前から正式にオーガナイズされている。珍しく単独出展するビトッシ、デサルト、ディーゼルリビング、シックス、ファーストディビスなど。さらにこのエリアから、パラッツォ・リッタ(ECALやジャパンクリエイティブらが出展)や、セレクトショップ「ロッサーナオルランディ」へも行ける(歩くと遠いが)。ピート・ヘイン・イーク、we+、グーグルとリー・エデルコートなどに注目だ。

▲ロッサーナオルランディ。

La Triennnale di Milano(トリエンナーレ)

充実のデザインミュージアムを有するトリエンナーレ。初出展のグランドセイコー、韓国工芸デザインなど。そして20世紀イタリアのデザイン史を5つのテーマで語る「storie.」展は見逃せない。

▲グランドセイコーのインスタレーションを担当するのはTAKT PROJECT。

Universita Statale di Milano(ミラノ大学)

▲昨年の展示の様子。

フオーリサローネイベントを牽引してきたインテルニ誌は、ミラノ大学で独自のイベントも開催する。20年目の記念となる今年のテーマは「House in Motion」。大学構内に、アルド・チビッチ、ピエロ・リッソーニ、マッシモ・イオザ・ギーニ、マリオ・ベリーニら巨匠たちが素材メーカーと組んだプロジェクトを展示する。

Durini(ドゥリーニ)〜Porta Venezia(ポルタ・ヴェネツィア)

ミラノの中心部、ドゥオーモ(大聖堂)に近いドゥリーニ通りからポルタ・ヴェネツィアにかけては老舗家具ブランド店舗が集中。カッシーナ、B&B、ジェルヴァゾーニ、アルクリネア、フロス、クヴァドラ、モルテーニ&Cなど。今回特別展を開催するイッセイミヤケの旗艦店。ノーマン・コペンハーゲン、ワンダーグラス、COSとフィリップ・K・スミスとのコラボ、ルイ・ヴィトンのオブジェノマドやヴィエーナGTVデザインもこのエリア。

▲(左)フロス、(右)クヴァドラ。

Brera(ブレラ)

ドゥオーモから北上するエリア。パナソニックがインスタレーションを行うブレラ絵画館の周辺。ディモーレスタジオ、アルフレックス、モローゾ、アガペ、ボッフィ、フリッツハンセンなどのショールームが多い。ヘイ、カリモクとイノダ・スヴァイエの新作、リアリィ、ローエッジズの個展、マインドクラフト、ウォールペーパー企画のハンドメイド展。ディルモスやニルファーといった個性的なギャラリーもチェックしたい。

▲(左上から時計回りに)リアリィ、カリモク、パナソニック、アルフレックス。

Garibaldi(ガリバルディ)

▲ボスコ・ヴェルティカーレ。

ブレラからさらに北上し、国鉄ガリバルディ駅へ向かうエリア。マターメイド、リンゼイ・アデルマン、スタジオ・ヨブらの特別展に期待。国鉄駅を超えた辺りは新しく開発されたイゾラ。グーグル・イタリアが拠点を構え、自然の緑に覆われた高層住宅ボスコ・ヴェルティカーレが新しいミラノを印象づけている。今年はダッチ・インバーチュアルズがこのエリアで展示を実施。

Ventura Centrale/Ventura Future(ヴェンチューラ・チェントラーレ/ヴェンチューラ・フューチャー)

昨年まで、ランブラーテ駅周辺で行われていたヴェンチューラプロジェクトが今年は完全に中心部へ移動。昨年初めて会場になったミラノ中央駅高架下がさらに充実するようだ。AGC旭硝子、HARU、デイヴィッド・ロックウェルらの展示を予定している。アルコーヴァ、デザインアカデミー・アイントホーフェンの展示へもたどり着きたい。中央駅から外れた場所にはヴェンチューラ・フューチャーという新たな名称で、ヴィンセント・ヴァン・デュイセンの新作発表なども行われる。

▲(上)AGC旭硝子のインスタレーション「Soundscape」、(下)二トムズのテープブランド「HARU」は洞窟壁画からインスピレーションを得たインスタレーションを行う。

Webマガジン「AXIS」ではミラノサローネ2018のレポートを予定。お楽しみに。