ザハ・ハディド・アーキテクツが手がける中国・江西省の廬山小学校
ロボット技術を用いた建設を提案

ザハ・ハディド・アーキテクツ(Zaha Hadid Architects)が、中国の江西省廬山(ろざん)市にある廬山小学校の設計を行い、その詳細が発表された。

当小学校は、江西省の首都である南昌(なんしょう)から160キロ北西にある3歳から12歳まで全校生徒約120人の子供たちが通う教育機関として計画されている。そして、この廬山市は、ユネスコ世界遺産でも知られる廬山自然公園を有する、川、湖に囲まれた自然豊かな地域だ。陶磁器の生産でも知られる。

学校のカリキュラムは、創造的な芸術の教育と科学・技術・工学・数学などのSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育を高度なインターネットベースの学習技術で組み合わせた先進的なものらしい。また、この地に教師として芸術家などが訪れることで、ローカルなこの場所にも焦点を当てる狙いもあるようだ。

発表された設計プランでは、キャンパス内には周囲の環境と直接つながるような、丸型の屋根の学校や寮に加え、多目的に利用できるメインホールなどが描かれた。教室は学習環境に合わせて柔軟に対応できるようになっており、屋外にも教室として利用できる空間が設計されているようだ。

建物は、壁としても機能する円形に曲がった屋根が最も特徴的な造形となっている。また、中央中庭は、施設のメインの回遊エリアとして機能するよう、長めに設計されているようだ。

教室は自然光が最適になるように円形に設計され、周囲の風景を眺めるにも最適だ。梁は、江西省特有の亜熱帯気候の太陽熱から教室を保護するとともに、教室の景観を広く見せる役割も担っている。

外装の仕上げには明の時代から続くこの地域の伝統に習い磁器質の素材を採用。屋根からフロアまで連続的に繋がり、建物を印象的なものにしている。

また、建設時間や運送コストを最小限に抑えるために、産業用ロボットを現地に導入して、コンクリートの製造やワイヤーカット成形行う挑戦的な計画も提案されているようだ。さらに、円形の屋根は金型を複数回使用できるようにモジュール性を持たせたことで、工期を圧縮。コストを削減させたとのこと。

周辺の美しい景色は学校を中心に盛り上がった形となっており、中庭エリアに自然の領域を作り出している。芸術と科学が融合するカリキュラムを展開する当学校らしい、自然と科学が一体となった設計案となっているのではないだろうか。(Photos by VA)End

プロジェクトチーム

Architect: Zaha Hadid Architects
Design: Patrik Schumacher
ZHA Project Director: Charles Walker, Nils Fischer
ZHA Project Architect: Michal Wojtkiewicz
ZHA Project Associate: Armando Solano
ZHA Project Team: Nassim Eshaghi, Nastasja Mitrovic, Marko Margeta, Hung-Da Chien
Engineering: Shing and Partners Design Group (SPDG)