建築家集団MVRDVがソウルで手がけた「The Imprint」
周囲の建物を刻印したファサードで調和を実現

オランダ・ロッテルダムを拠点とする建築家グループMVRDVは、韓国・ソウルの仁川国際空港のほど近くに、2棟の新しいアートエンターテインメント複合施設「The Imprint」を竣工したと発表した。

一方はナイトクラブ、もう一方は屋内テーマパークで、デザインの特徴は周囲の建物のファサードをレリーフした「インプリント(刻印)」、下からカーテンを持ち上げたかのようなエントランス、ナイトクラブの金色のエントランスエリアの3つが挙げられる。

この建築物は、6つの建物で構成される大規模複合施設「Paradise City」の一部で、ほかにもエンターテインメント施設とホテルが立ち並ぶ。クライアントの希望は、窓がなく、複合施設の他の建物と調和していることだったとMVRDVは明かす。

デザインは、周囲の建物のファサードを複合施設に投影、建物の外観や広場に影のように覆いかかるようにし、ファサードにレリーフパターンとして刻印した。

この刻印のために、ファサードにはガラス繊維補強コンクリートパネルが使用された。3,869枚のパネルはそのほとんどが同じ形状ではないため、設計段階からMVRDVの3Dモデリングファイルを使用、個別につくった鋳型が必要となった。このパネルは貼り付け後、視覚的に起伏を強調するため白く塗られている。

また、カーテンを持ち上げたような入り口からは、鏡張りの天井やガラス質の床がのぞき、内側で起きている興奮の感覚がほとばしっている。

「私たちのデザインでは、夜に大騒ぎした後、日中は禅のような静けさが訪れるので、文字通りアフターパーティーとそれを思い出す状況を提供するものです。ジョルジョ・デ・キリコはそういうことを描きたかったのだと思います」とプロジェクトの責任者で創業者のヴィニー・マースは語っている。End