サンワカンパニーデザインアワード2018
「感性を刺激する」プロダクトデザインのエントリーを受付中

サンワカンパニーがプロダクトアイデアを募集するデザインアワードを開催中。アイデアを2018年10月31日(水)まで募集している。本アワードは今後の建築・インテリア業界を支える才能豊かなデザイナーを発掘することを目的とし、2016年からスタートし今年3回目を迎える。2018年の募集テーマは「感性を刺激するプロダクトアイデア」。アクシスでは過去の受賞者を取材し、サンワカンパニーデザインアワード<プロダクトデザインコンテスト>の魅力を探った。

2016年最優秀賞 「ACK」(YutoRie 伊藤優理恵さん)

ーーサンワカンパニーデザインアワードに応募したきっかけを教えてください。

コンペ情報サイトを通じてアワードがあることを知り、その年のデザインテーマ「コンパクトキッチン」がだったのですが、とても面白そうと思ったことがきっかけで応募しました。ほかのエントリーでどんなキッチンが提案されるのだろうという興味とともに、自分もぜひ参加してみたいと思いました。

ーー受賞作品「ACK」はどのようにして生まれたのでしょうか?

コンパクトキッチンとフルオーダーキッチンとを比較した際に、コンパクトキッチンだからこそ活かせるポイントとは何かを最初に考えました。誰かのためのフルオーダーキッチンに対し、「誰にでも、どこにでも合わせられるコンパクトキッチン」というコンセプトで形にしていきました。それに加え、使わないときには蓋を閉じることでデスクのようにも使えるようにもしています。

ーーキッチンの高さは昇降式で、調整できるようになっているのですよね。

そうです。身長に合わせて調整することで作業をしやすくするだけではなく、例えば車いすで生活されている方の利用や、子どもの利用、座って作業したいときの利用など、ユニバーサルな視点を大切にしました。

ーー製品化を経てのミラノサローネ2018での展示はいかがでしたか?

製品化については東京ショールームで打ち合わせし、メールで図面・仕様のやりとりを重ねました。試作の確認のために大阪にあるサンワカンパニーさんのラボにも伺い、開発担当の皆様からの適切なアドバイスや制作現場の皆様の尽力があり、サローネ会場で多くの方に褒めていただける製品に仕上がりました。

サローネ来場者は、必ずしもサンワカンパニーブースを目的に来ている方たちのみではありません。それにも関わらず、机の天板が開き、水栓が立ち上がることでキッチンに変化する様子に、多くの来場者が足を止めてくれました。海外有名キッチンメーカーなどからも褒めていただき、「世界を驚かす」ことができたのかなと、自信になりました。

ーー伊藤さんにとって、サンワカンパニーデザインアワードの魅力は何ですか?

門戸広く開いているところです。私は住宅のコーディネーターや内装設計をしてきましたので、プロダクトデザインには関わりが薄かったのですが、逆に住宅に密接に関わってきたからこそ浮かぶアイデアがあります。あらゆる視点から提案できる可能性を持ったアワードだと感じています。

▲2016年最優秀賞 伊藤優理恵さん。

2017年最優秀賞 「HOUSEHOLD BOOK」(古角尚也さん)

ーーアワードには「力試しをしてみたい」という気持ちで応募されたと伺いました!

そうなんです(笑)。学生時代以来、デザインコンペにしばらく参加していなかったので、やってみようと思ったことがひとつのきっかけです。量産ベースの商品開発にも取り組んでみたいという想いがありました。現在デザインオーダーメイドの家具や内装の設計を仕事にしており、サンワカンパニーさんのミニキッチンや床材、タイルなどの商品を内装で使わせていただいています。サンワカンパニーさんのホームページでアワードを知り、応募しました。

ーー2017年のテーマは「DESIGN IS SOLUTION」でしたが、テーマに対してどのように取り組まれたのでしょうか?

テーマに対して、まず自分自身にとってもリアリティのある、狭小空間での快適な暮らしの手助けになるプロダクトを提案しようと考えました。アイロン台や姿見、小机など必要だけれども置き場所に困ったり、しまいこんでしまうと使うのが億劫になってしまったりするものを綺麗にまとめられないかという問題意識が、自身の生活のなかにありました。それをただ多機能な家具にするのではなく本のページをめくるように軽快に使えるものにできないかと考えました。

ーーこちらの作品は現在製品化に向けて進められているそうですね。

デザイン案提出時点ではCGを使った提案に止まっていたため、実際にモックアップをつくり、形状や安全性、製造コストなどを検証しています。サンワカンパニーさんは多くの人気商品を販売されている実績があり、ユーザー視点でのものの考え方、価格の見極め方などがとても的確です。「HOUSEHOLD BOOK」も当初はさまざまな機能を詰め込んだ提案だったのですが、それを慎重に削ぎ落とし、より軽快で価格的にも手に入りやすい商品になるよう素材や構造の見直しをしています。

ーー最優秀賞作品には30万円の賞金が贈られますが、よろしければ使い道を教えていただけますか?

オリジナルのロッキングチェアPerhe(ペルへ)の開発費に充てさせていただきました。個人レベルではなかなか開発費を捻出するのも難しいため、大変励みになりました。家具の設計で得られた知識をサンワカンパニーさんの商品開発にも還元していきたいと思います。

ーー最後に、古角さんにとってのサンワカンパニーデザインアワードの魅力を教えてください。

プロダクトデザイン部門、施工事例部門という2本立てのデザインアワードのため、よりリアリティを求められる空気感があります。授賞式の場でも建築設計関係の方はじめさまざまな分野の方と交流できたことも視野を広げることにつながりました。

▲2017年最優秀賞 古角尚也さん。

前回までは製品化を前提とした審査が行われた本アワードだが、今回は「アイデア重視」だとアワードの担当者は語る。審査基準となるテーマとの合致(「感性を刺激するプロダクトデザイン」)、そしてアイデアの新規性や独自性が求められている。ぜひ応募してみてほしい。プロダクトデザインコンテストの概要は下記の通り。詳細はアワード公式ウェブサイトより。End

サンワカンパニーデザインアワード・プロダクトデザインコンテスト

募集期間
2018年10月31日(水)23:59:59まで
審査スケジュール
一次選考:2018年11月上旬
最終選考:2018年11月下旬 審査委員会にて最終審査
表彰式 :2018年12月中旬~2019年1月中旬 東京ショールームにて開催
※最終結果および表彰式の模様は「Casa BRUTUS」に掲載。
表彰
最優秀1点 賞金30万円
優秀賞1点 賞金10万円
準優秀賞3点 賞金2万円
新人賞1点 賞金5万円(30歳以下が対象)
応募資格
個人またはグループ、年齢、性別、職業、国籍不問。
応募作品は国内外未発表のものに限る。
応募点数
制限なし。ただし1作品につき1登録。
エントリー方法
こちらのページより応募書類をダウンロードの上、ご応募ください。