Zaha Hadid Architectsがメキシコで手がけた「KnitCandela」
建築家・構造家のフェリックス・キャンデラにオマージュを捧げる実験的な構造物

▲Photography by Juan Pablo Allegre

Zaha Hadid Architectsは、初となるラテンアメリカでのエキシビションの一環として、メキシコシティにあるMuseo Universitario Arte Contemporáneoにて「KnitCandela」を手がけた。

これは、スペイン生まれで亡命後にメキシコで活躍した建築家で構造家のフェリックス・キャンデラ(Félix Candela)にオマージュを捧げる実験的な構造物。彼の独創的なコンクリートシェル構造を、新しいコンピュータデザインの方法や革新的なKnitCreteフレーム技術を取り入れて新たに想像するものだ。

▲Photography by Leo Bielling

▲Photography by Philippe Block

KnitCandelaのシェルのダイナミックな形状は、メキシコ・ハリスコのカラフルな伝統衣装の流れるような形に着想を得ている。地元の建築業者がこのプロジェクトをメキシコの縞模様のスカーフ「セラーぺ(sarape)」と呼んだが、形状としては、のちのプロジェクトにやがて発展するコンセプトである、キャンデラの絶賛されたソチミルコのレストランを参照している。

キャンデラが双曲放物面を組み合わせて、構造のムダを省く再利用可能なフレームを生み出したのに対して、KnitCandelaでは、はるかに広い範囲のアンチクラスティックな形状を実現。

▲Photography by Juan Pablo Allegre

このケーブルネットと布地の骨格システムを用いることで、表現的で自由な形のコンクリート表面が効率的に作られ、複雑な鋳型も必要がない。KnitCandelaの薄く二重に曲がったコンクリートシェルの表面積は約50平米で、5トン以上の重量があるが、使用されたKnitCreteフレーム構造はわずか55kg。フレームシステムに使われるニット状の布地は、スーツケースに入れスイスからメキシコに持ち込まれたという。End