地盤沈下するスウェーデン・キルナの市街地移転計画
Henning Larsenによる「キルナ市庁舎」が完成

スウェーデン北部の都市・キルナには、世界最大の鉄鉱石の鉱山がある。実は、この街はキルナ鉱山の鉱区上にあり、地盤沈下のおそれがあるという。

2004年、キルナ鉱山を経営する国営企業 Luosavaara-Kiirunavaara Aktiebolag(LKAB)は、3キロ離れた場所に市街地を移転する長期計画を発表。

そして今回、建築設計事務所 Henning Larsenは、新しい街にとって初となる建築物・キルナ市庁舎(Kiruna Town Hall)を手がけ、スタートさせることに成功した。コミュニティを育て、新たな始まりを告げる結節点として、新しい都市の中心となることが期待されている。

LKABは3,050戸の住宅、および約20万平米の商業スペース、オフィス、学校、市民公共スペースなどの移転を想定。そして、LKABは旧キルナから21件の建築物も保存・移転するというが、そのほかは新たに建設されることになる。

このアイデンティティを試す移転に、はたして新しい空間でコミュニティをどのように維持できるだろうか?新たなイメージと街の遺産のバランスはうまく取れるだろうか?

こうした問いに答えるには、建築と地域社会の関係を探りながら、都市計画と個人の歴史にまで踏み込まなければならないだろう。オープンしたキルナ市庁舎は、新たな建築としてキルナの遺産に加わるとともに、新しいコミュニティの中枢として機能できるだろうか。注目だ。End