レバノン生まれのリナ・ゴットメによる建築
ファサードに多様な開口部をもつ「Stone Garden」

レバノン・ベイルートの現代の街並みは、同国の地政学的な状況と難しい政治的な緊張の産物だ。街の建物には暴力の痕跡が残り、建築を空洞化させている。

同市で生まれた建築家 リナ・ゴットメ(Lina Ghotmeh)は、コンクリートの構造をむき出しにし、ファサードの開口部がこうした文脈で何を意味するのかという概念を変えるプロジェクトを多く手がけている。

同市の工業港の近くに建てられたこの「Stone Garden」は、伝統的な瓦屋根の家々と今日の建築の画一的なコンクリートの塊と並んでおり、ベイルートの歴史、生と死、在と不在、はかなさと永遠、美しさと生の状態を具体化しているのだ。

この提案は、簡潔さと現場の制約から新しい形を生み出そうと、彫刻的に構想されたものらしい。

「いかにファサードをベイルートの街に向かって開くか」という考えから、単に外を見るためのフレームではなく、さまざまな高さや大きさの開口部を設けた。また、大胆な引き算を行い、楽しい緑のあるバルコニーを配することで、こうした哲学のエネルギーを吹き込んでいる。開口部の非対称性はファサードを活気づけ、各階の住居を独自の空間にすることもできる。End