建築という形で、生と死、美しさと野蛮さを表現
レバノン出身の建築家Lina Ghotmehが手がけた建築「Stone Garden」

▲© Iwan Baan

レバノン出身の建築家 Lina Ghotmehが設計したベイルートの建築「Stone Garden」が完成した。

Lina Ghotmehによれば、現在のベイルートの景観は「レバノンの地政学的な状況やこの国を取り巻く政治的な緊張関係」の産物なのだそうだ。この「Stone Garden」も、街のこうした状況や戦時下にあった幼少期の体験を具体化したものだという。建築という形で、生と死、存在と不在、はかなさと永遠、美しさと野蛮さなどを落とし込んでいるのだ。

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建物は市内の港湾地区の近くに位置しており、この場所にはかつて中東初のコンクリート会社 Darwich Haddadがあり、同国の著名な建築家 Pierre El Khoury(1930-2005)が事務所を構えていた。そして、その息子である写真家 Fouad El Khouryは、この地で廃墟となった既存の建築についてのプロジェクトに取り組むため、家族とともに戻ってきたそうだ。

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「Stone Garden」もまた、このような存在と不在という変わることのない対話から生まれた。いわば都市の制約をそのまま解釈して、新しい建築の形式の誕生を宣言するような、彫刻のような建築である。

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その表面は、手作業で溝をつけて仕上げられている。また、ボリュームをかき取ってできた大きな開口部は、居心地のよいロッジアや屋内バルコニーともいうべき居住空間となった。

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開口部の大きさはさまざまなで、これにより各戸・各階にユニークな表情が生まれた。そして、庭はレヴァント地方の空高くに突き出すことで、時間を超えた建築ができあがった。

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