Austin Maynard Architectsが手がけた円形住宅
広大な景色を利用した「St Andrews Beach House」

オーストラリア南部・ビクトリア州のモーニントン半島に位置するセントアンドリュースビーチには、店舗が立ち並ぶ通りもレストランもないが、静けさや世間からの距離、荒々しくも美しい海岸線、そしてオーストラリアでもっとも有名ないくつかの住宅建築があるという。

地元の建築設計事務所 Austin Maynard Architectsがこの地で手がけた新たな建築が「St Andrews Beach House」だ。

人里離れた敷地と全方向に広がる広大な景色を利用した2階建ての円形の別荘で、野生の茂み、険しい砂丘、低木林のなかに孤立した家屋だ。繊細なロケーションだが建物は環境へ丁寧に溶け込み、シンプルな寝室2部屋を備えたビーチハウスを設計するというオーナーの指示のもと、デザインが行われた。

また、オーナーの指示には「bach」という言葉が頻繁に用いられていた。これは、ニュージーランドでは自然の中で見つけたりリサイクルした材料でラフに手早く建てた海辺の小屋を意味するそうで、砂丘に「bach」を立てようと試みたのである。

家の形は景色への応答だ。屋内空間は、水平方向と対角線上のオープンなコネクションを持った円形のデザインに合うように、無駄となる廊下は排した。

ロケーションからも読み取れるが、サステナビリティはこのプロジェクトの中核をなすキーワードだ。材料は丈夫で耐候性のあるものを使用しており、パッシブソーラーシステムを最大限に活用できるデザインになっている。End