ホンマタカシの最新作も上映
「“今の時代のニュードキュメンタリー”展 2019」が開催

東京造形大学映画・映像専攻アーツ千代田3331アテネ・フランセ文化センター「“今の時代のニュードキュメンタリー”展 2019」を2019年2月24日、3月7日〜9日に開催する。

この企画は、ホンマタカシ(写真家)と諏訪敦彦(映画監督)によって始められた東京造形大学大学院修士課程授業「造形プロジェクト:今の時代のニュードキュメンタリーvol.1-8」(2010-2017) の課外授業編。「映像の自生性(Spontaneity)」をひとつのキーワードに、新しいドキュメンタリー映画の方法を拠り所としたジャンル横断的なアート表現の在り方を探る試みだ。

ニュー・ドキュメンタリーとは

ドキュメンタリー映画の新たなジャンルのことではありません。……のちに「映像の自生性(Spontaneity)」と呼ばれることになる映画・映像の持つ独自な性質を、表現行為の可能性として捉え直し、その現在的な方法を探る自覚的態度を持った作品群のことを、ここではNEW DOCUMENTARYと呼称しています。その意味でNEW DOCUMENTARYとは、ドキュメンタリー/フィクションという区分以前の、様々な表現のスタイルやテーマの基底に横たわる「見ること聞くこと」によって開かれる世界の在り方を問うものです。

本展示では「ニュー・ドキュメンタリー」と呼べる方法を持ったアート作品の展示や映画作品の上映、トークイベントを予定している。参加作家はホンマタカシ、諏訪敦彦、五十嵐耕平、吉開菜央、李漢強、PUGMENT(大谷将弘と今福華凜)ほか。ゲストには西沢立衛(建築家)、椹木野衣(美術評論家)、笹久保伸(音楽家)、イルマ・オスノ(音楽家)を予定している。詳細なプログラムは下記の通り。End

「“今の時代のニュードキュメンタリー”展 2019」
~ニュードキュメンタリーという方法、あるいは、まなざしの態度~
New Documentary:Attitude of seeing

入場料
全プログラム無料
※全プログラム入場無料ですが、入場に際しては整理券を配布することもございます。休憩時は入れ替え制で、必ず一度ホールの外に出ていただき、再入場していただくことになります。基本、途中入退場はお控えください。
2019/2/24
アーツ千代田 3331・1Fラウンジ 11:00-21:00
参加アーティスト:阿部くらら、香月恵介、小山友也、馮馳
PUGMENT(大谷将弘と今福華凜)、李漢強、ホンマタカシ
★am11:00-am12:00:小山友也によるパフォーマンス
★pm1:00-:PUGMENTと参加アーティストによるインスタレーション
★pm5:55-:馮馳によるフォトパフォーマンス
2019/3/7~9
アテネ・フランセ文化センター 13:30~
※終了時間は日によって異なります。

3/7(木)@アテネフランセ文化センター
●13:30〜14:40
東京造形大学映画専攻学生によるニュードキュメンタリー系作品
「みつめる」細川なつ子(2015)55分
大学を辞めてしまった友だちと「あてのない」旅に出る、二人だけの夏の記録。
「7月8日土曜日」稲永苑佳(2017)11分30秒
「だれか」稲永苑佳(2017)3分30秒
高校から予備校、東京の美大へ、そして、辿り着いた海岸で、私はカメラの中で他者となる。
(観客退場10分・上映準備:10分・観客入場:10分)
●15:10〜15:50
小山友也監督作品
「passing through there」(2018)20min
人は他人に運ばれて仏となる?タイの路上で生まれる身体映画吉開菜央監督作品
「自転車乗りの少女」(2013)10分 出演:吉開菜央 挿入歌:柴田聡子
少女が自転車に乗ってその土地を疾走すること、そこに映画が始まる
「風にのるはなし」(2018)9分 出演:前田エマ
自転車に乗り、坂を下り、風に乗り、海を渡る、その時、風景
(観客退場10分・上映準備:15分・観客入場:10分)
●16:25〜16:45
川部良太監督作品
「まなざしのリレー・豊島檀山」(2019)20分 出演:石井晴美、石井亨瀬戸内海の豊島山頂の窪地に残された最後の家と暮らしを幻視する
(観客退場10分・上映準備:10分・観客入場:25分)
●17:30〜19:41
ホンマタカシ監督作品
「After 10 Years」(2016)101分
トロピカル・モダニズムの建築家ジェフリー・バワによる代表作、スリランカのヘリタンス・アフンガッラ・ホテル。内部と外部が仕切られることなく交流するように建てられた「場」が、そこで生活する人々に要請する行為(消費と労働と祈り)を、視るという行為が静かに浮かび上がらせていく。
★19:50〜20:50
対談 ホンマタカシ×西沢立衛
■特別映像上映予定

3/8(金)@アテネフランセ文化センター
●13:30〜15:20
東京造形大学映画専攻学生によるニュードキュメンタリー系作品
「スロー・ダンス・ナイト」川勝康平(2016)30分
「あなたは何をしたいの?」別れた彼女と過ごす何もない郊外の数日間
「母をこえて」大澤諒恭(2018)30分
夜中のテーブルで、父のいない息子と夫のいない母親が向かい合う
「comodo」羽生竜馬(2018)50分
完成に至らなかった劇映画。瓦解したわけを探る中〈わたしたち〉が揺らぎはじめる
(観客退場10分・上映準備:10分・観客入場:10分)
●15:50〜16:30
東京造形大学映画専攻学生によるニュードキュメンタリー系作品
「自分の力で変えられる」望月晋也(2015)40分
あの時のあの場面を、たった一人で再現を図る、驚異の自撮り野心作
●16:30~17:10
諏訪敦彦監督作品
「a letter from Hiroshima」(2002)36分
主演:キム・ホジョン、諏訪万修 撮影:池内義浩 録音:菊池信之 編集:大重裕二
制作の迂回と表現の更新を賭した、全州国際映画祭のオムニバス映画「After War」の一編
(観客退場10分・上映準備:20分・観客入場:10分)
●17:50〜19:25
諏訪敦彦監督作品
「2/デュオ」(1997)95分 出演:柳愛里、西島秀俊、渡辺真起子 撮影:田村正毅
あらゆる「映画」は「ドキュメンタリー」であったことを、あらゆる「表現」はいつだって「2」からはじまることを、何度でも何度でも、生まれたてのように覚醒させてくれる。
★19:30〜20:30
対談 諏訪敦彦×NEWDOC系作家たち

3/9(土)@アテネフランセ文化センター
●13:30〜15:20
日下部隆太監督作品
「投影するわたし」(2017)32分 出演:日下部一郎、豊田知香 撮影:五十嵐耕平
記憶を利用しヒトは愛を育てることができるのか?映画は「わたしたち」に何ができるのか? 五十嵐耕平監督作品
「夜来風雨の声」(2008)74分 出演:稲葉雄介、天野祐子
ワンルームアパートの中で静かにふたりの距離が胚胎していく
★15:30〜17:00
鼎談 諏訪敦彦×五十嵐耕平×日下部隆太×稲葉雄介×豊田知香×大野隆介
(観客退場10分・上映準備:10分・観客入場:10分)
★17:30〜18:00
対談 ホンマタカシ×椹木野衣

●18:05〜
ホンマタカシ監督作品
「TAKI AYACUCHO CHICHIBU ORQO」(「ペルーの歌と秩父の山」)(2018)60分
出演:イルマ・オスノ、笹久保伸 ※劇場での初上映となります。
ペルー、アンデス山脈出身の歌手イルマ・オスノは日本のギタリストと結婚して埼玉秩父に住んでいる。7年ぶりに里帰りしたイルマを迎えた親戚は、唄と踊りで歓迎した。かつてのペルーの内戦の記憶がそこには横たわっていた。
★19:15〜19:45
ミニLIVE 唄:イルマ・オスノ ギター:笹久保伸
★20:00〜20:30
対談 ホンマタカシ×椹木野衣

主催
学校法人 桑沢学園、東京造形大学
協力
ホンマタカシ写真事務所、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻、アテネ・フランセ文化センター
ウェブサイト
https://www.facebook.com/groups/1304639013009650/