ソウル・地下鉄ノクサピョン駅に「Dance of light」が完成
成瀬・猪熊建築設計事務所の初海外プロジェクト

ソウル市の地下鉄ノクサピョン駅に、新たな建築「Dance of light」が完成した。設計を手がけたのは成瀬・猪熊建築設計事務所で、初の海外プロジェクトだったが、2018年夏の国際コンペからわずか半年での竣工となった。2019年3月14日(木)には、ソウル市長も臨席するオープニングセレモニーが行われる予定だ。

以前のノクサピョン駅の地下4層からなるアトリウムは、地下鉄のホームから地上へ出るまで退屈な動線空間だったそうだ。大きな天窓からは光が降り注ぎ、時間や天気、季節によってまったく異なる姿を見せるが、雑多な素材が邪魔をして、その変化には気づきにくかったという。

そこで同事務所は、アトリウムに真っ白いエキスパンドメタルで作られた巨大なドームを設置、既存の駅舎の風景を薄い霧の中のように抽象化し、光の変化を際立たせることにした。

天窓からのコントランストの強い光がドームの一部を照らしてゆっくりと動き続けたり、ドーム全体が柔らかく明るくなったり、夜には周囲の人工照明を背景にドームの影が浮かび上がったりするので、周囲の回廊からは巨大なランタンのようにも見える。

こうした変化は、駅を忙しく移動する人々に比べると、ずっとゆっくりとしたものなので、すぐには気づかれないかもしれない。だが、ここでしばらく佇んだり、季節が巡ったりするなかで、日常的な駅の空間に私たちとはまったスケールの異なる自然のダイナミズムを感じることができるだろう。End