注目の現代アーティスト フェリペ・パントン
アナログとデジタルがぶつかり合うような作品が特徴

スペイン・バレンシアを拠点に活動するフェリペ・パントン(Felipe Pantone)は、ヴィクトル・ヴァザルリ(Victor Vasarely)やカルロス・クルズ=ディエズ(Carlos Cruz-Diez)といった、モアレを用いるキネティックアーティストからインスピレーションを得ている現代アーティストだ。

ネオンのグラデーション、幾何学的な形状、オプティカルパターン、ギザギザの格子模様といったものを好む彼の作品から感じられるのは、過去のアナログ世界と未来のデジタル世界がぶつかり合うような感情だ。

「色彩は光から生まれ、光は生命が生まれるただひとつの原因なのです」と彼は語る。「光と色彩はビジュアルアートの本質です。テレビ、コンピュータ、そして現代の照明技術のおかげで、私たちの光と色彩の認識は完全に変わりました」。

彼の現代アート作品は、鑑賞者が位置を変えるにつれて振動のような感覚を生み出すものだ。モデリングソフトウェアを用いて3D化し、フレスコ画、壁画、絵画、彫刻などを制作、デジタル世界から生まれるものに触覚性を与えている。

そんな彼の個展「Distance, Speed, Time, Formula」が中国・上海のDanysz Galleryで2019年3月16日(土)まで開催されている。

そのスタイルは、ダイナミックで力強く、ある種の荒々しさを視覚的に爆発させることを特徴としている。モダンな世界、機械、スピード感を高揚させたいという意志は、イタリアの未来派を彷彿とさせるものがある。

彼の作品はオプティカル・キネティックアートの系譜に属しているが、ヴァザルリ、フリオ・ル・パルク(Julio le Parc)、ヘスス・ラファエル・ソト(Jesús Rafael Soto)が残したものを、現代の子どものまなざしや敏感さで再考しようとしているのだ。End