音楽からファッション、クルマのカラーデザインまで
「レトロデザイン」の新しい魅力

▲(上段左)「アイワ FM ラジオ付 Bluetooth スピーカー SB-FH20」、(上段中)「カリタ グラインダー NEXT G(AG)」、(上段右)「アラジン トースター AGT-G13A(G)」、(下段左)「カインズ Vinte家電 ミニホッとプレート CZ-HP1502V」、(下段中)「エスキュービズム WRD-1085 G/W/K 1ドアレトロ冷蔵庫」、(下段右)「Wise Tech Divoom Tivoo

最近、レトロな雰囲気の電化製品を見かける機会が増えました。冷蔵庫やトースターなどに代表されるキッチン周りの家電からBluetoothスピーカーに至るまで、機能には最新を求めつつも、素朴なデザインが好まれる傾向に今の時代性を感じます。レトロデザインを牽引しているのが、流行した当時を知らない若い世代であることもとても興味深いです。

ではなぜ私たちはレトロなデザインに惹かれるのでしょうか?

レトロなデザインには、温かみを感じる「懐かしさ」や素朴でシンプルなため操作がしやすいといった魅力があるのはさることながら、流行した当時を知らない世代からすると「レトロ」という感覚ではなく「新しい」と感じさせる存在であることも魅力のひとつだと思います。

ファッションでは、2・3年前からリバイバルブームが到来しています。その流れはとどまることを知らず、音楽やエンターテイメントにまで波及しています。一例を挙げると、ファッションでは「ダッドシューズ」と呼ばれるスニーカーが流行していたり、音楽ではDA PUMPの「U.S.A.」が国民的大ヒットしています。

▲DA PUMP 「U.S.A.」

ダッドシューズはその名の通り、休日にお父さんが履いているようなスニーカーのことを指しますが、靴底が分厚くて少し野暮ったい印象を受けます。コーディネートが難しそうなダッドシューズが流行している背景には、野暮ったいといったマイナスなイメージをいかに格好よく履きこなしプラスのイメージに変えられるかを楽しむ、といった別の価値観があるようです。

きちんとしたアイテムは大抵の人が身につけると様になりますが、野暮ったいアイテムを着こなすにはセンスが必要。一筋縄ではいかないお洒落を楽しんでいるという動きに新しい魅力を感じます。

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自動車のカラーも例外ではなく、最近ではあえてくすませたトーンのソリッドカラーも求められるようになってきています。

ソリッドカラーは光輝材と呼ばれるキラキラ輝くものが入っていないため、色相・明度・彩度のバランスだけでどう世界観を表現するのかがポイントとなってきます。私たちカラーデザイナーのセンスが試される色といっても過言ではありません。古臭くなりすぎず、新しい色として認識してもらうためのバランスを探り色に落とし込んでいます。

今後はモノを所有しなくなるサブスクリプション時代へと突入していくと言われていますが、モノへの愛着心は今後どのように変化していくのでしょうか。旬なものを手軽に利用できる時代だからこそ、時の経過を感じさせるモノの価値が上がっていくのかもしれません。

D-LOGも人の心に刻まれる色を今後もつくり続けていきたいと思います。