MIT Media LabのMediated Matter groupによる
”メラニン”を使ったインスタレーション「Totems」

MIT Media Labのプロジェクトチーム「Mediated Matter group」は、デザインと科学や技術革新を組み合わせた「マテリアルエコロジー(Material Ecology)」をその研究領域としている。彼らが手がけたプロジェクトのひとつが「Totems(トーテム)」である。

地球上の生物多様性は深刻な脅威にさらされており、絶滅の確率は人類が登場する以前の100〜1,000倍にもなると推定されている。そこで同プロジェクトチームは、生物系全体で生物多様性を維持・強化でき、気候変動の危険に耐えられる材料や化学物質を求めるなかで、「メラニン」に行きついた。

メラニンはほとんどの生物に見られる天然色素。肌や髪、目だけでなく、羽根や翼にもある「共通の色素」で、約1億6000万年前の化石からも発見されており、現代のテクノロジーで化学的に合成することも可能だ。

そこで「トーテム」の中心となる研究は、メラニンが自然界でどのように作られるのか、そしてそのプロセスをどのようにデザインツールに変えられるかということである。

公開されたインスタレーションでは、環境に敏感なメラニンを注入したガラス構造の構造物を設計。そこには、その場で観察できる天然のメラニン形成過程や、実験室で行われる生物学的な合成や抽出の過程の複製など、さまざまな種類のメラニンが含まれている。

▲On-site Photography: Gianluca di Ioia

紫外線から身体を守る重要な役割に加え、メラニンは幅広い機能を持つ。地域と環境の全体にわたり、人の健康と文化を探索するための興味深い媒体だ。すべての生物の組織で確認でき、長い間、生物学的サバイバルに関係していることは明らかだ。そのため、非常な価値があり、気候変動が進む時代に人が地球上で生き延びるためのカギとも言えるのではないだろうか。End