建築設計事務所 TYRANT Inc.が手がけた「町田邸」
四万川沿いの自然に環境に囲まれた傾斜地に建てられた個人住宅

建築設計事務所 TYRANT Inc.が手がけた「町田邸」は、群馬県を代表する温泉地のひとつ、四万温泉を流れる四万川沿いの自然に環境に囲まれた傾斜地に建てられた個人住宅。四万川と公園に挟まれた敷地の形状に従い、細長い平面を持つ平屋の木造住宅を計画した。
 
背後の斜面から四万川に向かって地中を流れる豊富な地下水により、敷地は常に湿度の高く、傾斜地なので、決して居住に適している環境ではないが、斜面の上に四方向にはね出したコンクリートスラブを乗せた高さ2mの基礎を造り、その上に23.6m×4.6mの平面を持つ建物を設計。斜面から適当な距離をとることで、湿気との縁を切り快適な居住空間を実現させた。

建物の外形は細長い切妻型で、杉板下見板張りの外壁の上にガルバリウム縦ハゼ葺で仕上げた軒を持つ切妻屋根を乗せている。建物を地盤面から浮かし、かつ軒を出すことで、冬季の積雪から建物は守られるという。
 
平面プランは細長い廊下に沿って諸室を並列させていくという、非常にシンプルな構成。内部の天井は四万川側半分を内壁同様に仕上げる一方で、公園側は木造の架構をあらわしとして空間のアクセントとしている。廊下の一番奥に配置したリビング・ダイニンの川側のコーナーにははめ殺しの窓を設置し、豊かな自然を望むことができる。


 
一般的な外形を持つ建物でありつつも地面から浮かせることで、周辺環境から突出するのでもなく、ただ馴染むだけでもないあり方を実現。動的であり静的で、かつ既視感と未視感の両方の性格を持つ曖昧な建物のあり方を探った建築となった。End